アメリカの高速道路番号には法則がある——I-95からI-5まで、数字が語る国土の設計
Interstate Highwayの番号は適当に振られたわけではない。奇数は南北、偶数は東西。3桁は支線。番号の法則からアメリカの国土設計思想を読み解く。
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I-5は西海岸を南北に走る。I-10は南部を東西に横断する。I-95は東海岸を南北に貫く。この番号、ランダムに見えて完全にルールがある。
2桁番号の法則
奇数は南北方向、偶数は東西方向。これが最も基本的なルールだ。
さらに、東西方向の偶数番号は南から北へ大きくなる。I-10がフロリダ〜カリフォルニアの南端を走り、I-90がシアトル〜ボストンの北端を走る。
南北方向の奇数番号は西から東へ大きくなる。I-5が太平洋岸、I-95が大西洋岸。
つまり番号を聞いただけで、そのハイウェイが国土のどこを走っているか推測できる。アメリカを座標平面に見立てて、番号がX軸とY軸の値になっている。
3桁番号の読み方
I-405、I-285、I-695——3桁のインターステートは2桁の「子供」だ。下2桁が親のルート番号を示す。I-405はI-5の支線、I-285はI-85の支線。
最初の1桁にも意味がある。偶数で始まる3桁(I-210, I-410)は都市を迂回するバイパス(ループ)で、元の本線に戻る。奇数で始まる3桁(I-395, I-195)は本線から分岐して戻ってこない放射線(スパー)だ。
なぜこのシステムが生まれたか
1956年、アイゼンハワー大統領が署名した連邦援助道路法(Federal-Aid Highway Act)が出発点だ。総額$25 billion(当時のドルで、現在の約$2,700億相当)を投じ、約66,000kmの高速道路網を建設する計画だった。
アイゼンハワーが第二次世界大戦中にドイツのアウトバーンを見て衝撃を受けたのは有名な話だ。軍事目的——核戦争時に都市から大量避難させるための動脈として設計された側面もある。
出口番号のもう一つの法則
出口番号にも2種類ある。マイルポスト方式(距離ベース)と通し番号方式だ。
マイルポスト方式では、州の西端または南端からの距離が出口番号になる。テキサスのI-10でExit 880を見たら、そこは州の西端から880マイルの地点だ。残りの距離が直感でわかる。
通し番号方式(ニューヨーク州、カリフォルニア州の一部など)は、Exit 1、2、3と順番に振っていくだけ。距離感がつかめないが、出口を数えやすい。
5と0で終わる番号の特別さ
I-5、I-10、I-15、I-20......末尾が0か5の番号は「主要ルート」を示す。アメリカ大陸を端から端まで横断、あるいは縦断する幹線だ。
I-35は米墨国境のラレドからミネソタ州ダルースまで、アメリカの真ん中を南北に貫く。途中でダラス、オクラホマシティ、カンザスシティ、ミネアポリスを通る。この1本の道がアメリカの中西部経済圏をつないでいる。
番号を見るだけで、その道路がどこを走り、どれくらいの重要度を持ち、どの都市とつながっているかがわかる。道路番号はアメリカという国の自画像だ。次にGPSで「I-○○に乗れ」と言われたとき、その番号が持つ意味を考えると、少しだけ運転が楽しくなるかもしれない。