陪審員義務と在住外国人——召喚状を受け取った場合の対応
アメリカの陪審員制度(jury duty)の仕組みと、外国人が召喚状を受け取った場合の対応方法を解説。永住者・ビザ保持者・帰化申請中の人それぞれの立場に応じた対処法を紹介。
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アメリカで生活していると、ある日郵便ポストに「JURY SUMMONS(陪審員召喚状)」と書かれた封筒が届くことがある。初めて受け取った日本人は、少なからず動揺する。「私は外国人なのに?」「無視したらどうなる?」——この記事ではその疑問に答える。
陪審員制度の基本
アメリカの陪審員制度(jury duty)は、一般市民が刑事・民事裁判に陪審員(juror)として参加し、有罪・無罪または賠償の可否を判断する制度だ。
陪審員になれるのはアメリカ市民(US citizen)のみ。連邦法により、永住者(グリーンカード保持者)や就労ビザ保持者は陪審員資格を持たない。
にもかかわらず召喚状が届く理由がある。
なぜ外国人に召喚状が届くのか
召喚状の送付先は、州によって異なるが主に以下のリストから抽出される。
- 選挙人登録(Voter Registration)リスト
- 運転免許証(Driver's License)リスト
- 州の納税記録
永住者が「申請手続きの一部として」誤って選挙人登録してしまうケースや、DMV(車両局)のデータベースからの自動抽出ミスで外国人に送られることがある。
受け取った場合の対処法
ステップ1: 召喚状の内容を確認する 封筒を開けて召喚状に書かれた返信方法(オンライン・電話・郵送)と期限を確認する。無視は罰金・逮捕状の対象になりうるため、期限内に必ず対応する。
ステップ2: 資格外であることを申告する 召喚状への返答フォームには「I am not a US citizen(米国市民ではない)」の選択肢があることが多い。または指定された欄に外国籍であることを記入し、パスポートや永住証明書のコピーを添付して送付する。
ステップ3: 応答が確認されるまでフォローする 送付後に確認通知が来るケースと来ないケースがある。不安な場合は裁判所の事務局に電話で確認できる。
永住者・帰化申請中の人への影響
注意が必要なのは、帰化(市民権取得)申請中の永住者だ。
もし意図せず選挙人登録をしてしまった場合、帰化申請に影響する可能性がある。「外国人が誤って登録した」という申告を正式に行っておくことが重要だ。移民弁護士への相談が確実な対処になる。
帰化後は義務になる
アメリカ市民権を取得すると、jury dutyは市民の義務になる。雇用主は法律上、陪審員参加期間中の不当解雇を禁止されている(ただし給与補填は雇用主次第)。
陪審員報酬は連邦裁判所で1日50USD(約7,750円)程度だが、長期裁判(数週間〜数ヶ月)になると自営業者や個人事業主には大きな負担になることもある。
市民権申請を検討している在住者は、この義務も念頭に置いたうえで判断することが望ましい。