アメリカの図書館カードは最強のサブスクだ——無料で使える驚きのサービス一覧
アメリカの公共図書館は本を借りるだけの場所ではない。図書館カード1枚で博物館の入場券、語学アプリ、3Dプリンターまで使える。その仕組みを解説する。
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ニューヨーク公共図書館のカードで、MoMA(近代美術館)に無料で入れる。入場料$30(約4,650円)が、図書館カードを見せるだけでゼロになる。図書館カードは無料だ。
図書館カードの作り方
住所を証明できれば誰でも作れる。パスポートと公共料金の請求書、あるいは賃貸契約書を持って最寄りの図書館に行くだけだ。多くの図書館は観光ビザでも作れるが、貸出冊数が制限される場合がある。
所要時間は10分。費用はゼロ。
本以外に借りられるもの
アメリカの図書館は「モノの貸出」に踏み込んでいる。シカゴ公共図書館ではミシンが借りられる。デンバー公共図書館ではケーキの型のコレクションがある。サクラメント公共図書館では州立公園の年間パスを1週間借りられる。
ロサンゼルス公共図書館のTool Libraryでは電動ドリルやノコギリを貸し出している。日曜大工のためだけに$200の工具を買う必要がない。
デジタルサービスが本体
紙の本より価値が大きいのはデジタルサービスかもしれない。図書館カードがあれば以下が全て無料になる。
- Libby / OverDrive: 電子書籍・オーディオブックが無料。ベストセラーも含む。ただし人気作は予約待ちが数週間
- Kanopy: 映画ストリーミング。月4〜10本の制限があるが、ドキュメンタリーやインディー映画が充実
- LinkedIn Learning: ビジネス・テック系の動画講座。通常月額$29.99が無料
- Mango Languages: 語学学習アプリ。日本語コースもある
- Consumer Reports: 製品レビューサイト。通常年額$39が無料
Makerspace——3Dプリンターが使える図書館
全米の大型図書館の多くがMakerspace(ものづくりスペース)を併設している。3Dプリンター、レーザーカッター、ビデオ編集用PC、録音スタジオ。予約制で無料、あるいは材料費のみ。
ブルックリン公共図書館のMakerspaceでは、利用者がアクセサリーを3Dプリントして、Etsyで販売しているケースもある。公共施設が個人のサイドビジネスのインフラになっている。
Museum Pass——美術館・博物館が無料に
多くの図書館がMuseum Passプログラムを提供している。図書館カードで博物館の無料入場券を予約できる仕組みだ。ニューヨーク、ボストン、シカゴ、ロサンゼルスなど主要都市で展開されている。
家族4人でボストン科学博物館に行くと通常$120(約1.86万円)かかるが、図書館カードがあれば$0だ。
なぜここまで充実しているのか
アメリカの公共図書館の予算は不動産税(Property Tax)から出ている。つまり家賃を払っている時点で、間接的に図書館に税金を納めている。使わなければ払い損だ。
カーネギーが19世紀末に全米に2,500以上の図書館を建てたとき、「無料で知識にアクセスできること」が民主主義の基盤だと考えた。その思想が100年以上経った今、3Dプリンターや映画ストリーミングの形で生き続けている。
図書館カードは、アメリカで最もコスパの良い「サブスクリプション」だ。入居したらまず作る。それだけで生活の選択肢がかなり広がる。