アメリカの選挙制度——在住外国人が知っておくべき政治の仕組み
大統領選・予備選・中間選挙・地方選挙——アメリカの選挙制度は複雑だ。投票できない在住外国人でも、仕組みを知っていると政治ニュースの文脈がつかみやすくなる。
大統領選挙の報道を見ていて「予備選(Primary)って何?」「スーパーチューズデーって何?」となる在住日本人は多い。在住外国人は投票できないが、仕組みを知っていると4年に1度の政治的な季節をずっと理解しやすくなる。
アメリカ選挙の種類
大統領選(Presidential Election)
4年に1度、閏年に実施。現職大統領の1期目は4年、最大2期(8年)まで。選挙は11月第1月曜の翌火曜日(Election Day)に実施される。
中間選挙(Midterm Elections)
大統領選の中間(2年後)に実施。連邦下院議員(435議席)全員と上院議員(100議席のうち約3分の1)が改選される。
予備選(Primary Election)/ 党員集会(Caucus)
本選の前に、各党の候補者を決める選挙。民主党・共和党それぞれが開催する。
予備選の仕組み
予備選(Primary)
州ごとに投票を行い、代議員(Delegate)を獲得する。全国の代議員数で過半数を獲得した候補が党の大統領候補に指名される。
党員集会(Caucus)
投票所に集まって公開で支持を表明する方式。アイオワ州が有名で、大統領選のサイクルの最初に行われることが多い。
スーパーチューズデー(Super Tuesday)
複数の州が一斉に予備選を行う日(3月上旬ごろ)。一度に多くの代議員が決まるため、事実上この日に候補者が絞られることが多い。
大統領選の「選挙人団(Electoral College)」
日本との最大の違いはここだ。アメリカは間接選挙で、国民が直接大統領を選ぶわけではない。
各州に「選挙人(Electors)」が割り当てられており(上院2人+人口比の下院議員数に基づく)、その合計は538人。大統領になるには270人以上の選挙人を獲得する必要がある。
ほとんどの州は**"Winner-takes-all"**方式で、その州で得票率1位になった候補者が州の選挙人全員を獲得する。メイン州・ネブラスカ州のみ比例配分方式をとる。
この仕組みのため、「全国の総得票数で上回っても大統領になれない」ケースが起こりうる(2000年・2016年選挙で実際に起きた)。
スウィング・ステート(激戦州)
毎回ほぼ同じ党が勝つ州(カリフォルニア→民主党、テキサス→共和党等)では選挙運動をする意味が薄い。そのため両候補が集中的に選挙活動を行う「揺れ動く州」がある。ペンシルバニア・ミシガン・ウィスコンシン・アリゾナ・ジョージア・ネバダ等が近年の代表例だ。
これらの州の動向が選挙結果を決めることが多く、報道もここに集中する。
在住外国人と選挙
外国籍者(non-citizen)は連邦・州の選挙で投票できない。市区町村レベルでは一部の自治体が永住者(Permanent Resident)に投票権を与えているケースがあるが(例:メリーランド州の一部都市)、一般的ではない。
選挙期間中はキャンバシング(街頭での勧誘)・寄付の勧誘に声をかけられることがある。外国人は政治献金も法律で禁止されているため注意が必要だ。
アメリカの選挙シーズンは騒々しいが、仕組みを知っていると選挙報道がニュースではなくパズルゲームのように見えてくる。