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アメリカのビザ完全ガイド——就労ビザ・永住権・投資ビザまで。日本人が知るべき選択肢

H-1Bの抽選倍率、L-1の社内転勤要件、E-2投資家ビザ、グリーンカードへのルート。日本人がアメリカで合法的に働くための選択肢を、数字と実態で整理する。

2026-04-09
アメリカビザグリーンカードH-1B就労ビザ永住権

この記事の日本円換算は、1USD≒155円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(USD)の金額を基準にしてください。

アメリカで働く日本人が最初に直面するのはビザの壁だ。「H-1Bを申請したら抽選で落ちた」「グリーンカードの優先日が10年以上先」——数字で語られることが少ないだけで、これはかなり厳しい現実を含む。選択肢を整理しておく。

H-1Bビザ——専門職就労の代表格だが、抽選の現実は厳しい

H-1Bは学士以上の学位が求められる専門職向けの就労ビザ。有効期間は最初3年、延長で通算6年まで。グリーンカード申請中は一定条件のもとで延長が続く。

問題は需要と供給の乖離だ。毎年の発行上限は85,000件(一般枠65,000件 + 米国大学院修了者枠20,000件)。しかし申請数はこれをはるかに上回る。USCISの発表によると、2024年度(2023年4月申請分)の申請数は約780,000件。抽選倍率は約9倍だった。

年度申請数発行上限選出率(概算)
2022年度308,613件85,000件約27%
2023年度484,927件85,000件約18%
2024年度約780,000件85,000件約11%

抽選に落ちた場合、同じ年に再申請はできない。翌年3月まで待って再挑戦するか、別のビザカテゴリを検討するかを選ぶことになる。

L-1ビザ——多国籍企業の社内転勤に使う

L-1は企業内転勤者向けビザ。日本の親会社・関連会社に勤務し、アメリカの関連会社に転勤する形であれば申請できる。抽選はない。

種別対象有効期間(最初)最大滞在期間
L-1Aマネジャー・役員3年7年
L-1B特殊知識保有者3年5年

申請条件は「転勤前に関連会社で継続して1年以上勤務していること」。日本企業のアメリカ駐在員として使われるパターンが典型だ。

L-1AはEB-1C(多国籍企業マネジャー・役員の優先労働者)グリーンカードへのルートとして機能する場合がある。この場合、通常のEB系より待ち時間が短くなることもある。

E-2ビザ——投資家ビザ。日本人は使える

E-2は「条約投資家ビザ」。日米通商航海条約に基づき、日本国籍者はE-2ビザの申請資格がある。

要件の骨子は「アメリカのビジネスに相当額の投資をし、そのビジネスを運営・管理する」こと。「相当額」の定義は法律で明確な数字が規定されているわけではないが、実務上は$100,000(約1,550万円)以上が一般的な目安とされる。投資額が少ないほど審査は厳しくなる。

永住権への直接ルートではないが、更新可能で期限の定めがなく運用しやすい。家族(配偶者・21歳未満の子)も同行できる。配偶者はE-2Dとして就労許可も取得できる。

O-1ビザ——「卓越した能力」を持つ個人向け

O-1は科学・芸術・教育・ビジネス・スポーツの分野で「卓越した能力(Extraordinary Ability)」を証明できる人向け。賞・出版・給与の高さ・業界での評判など、複数の証拠書類で能力を示す必要がある。

スタートアップ創業者、アーティスト、著名な研究者などが取得するケースが多い。抽選がないため、要件を満たせる見込みがあれば検討の価値がある。

グリーンカード(永住権)へのルート

グリーンカードの取得ルートは複数ある。主なものは就労系(EB)とNIW。

EB-1:優先労働者

  • EB-1A: 卓越した能力(科学・芸術・教育・ビジネス・スポーツ)。雇用主スポンサー不要
  • EB-1B: 卓越した研究者・教授
  • EB-1C: 多国籍企業のマネジャー・役員(L-1Aからの移行に使われる)

EB-1は「Priority Date(優先日)」が比較的早い。インドや中国出身者と比べ、日本人は待ち時間が短い傾向がある。

EB-2 NIW(国家利益免除)

NIW(National Interest Waiver)は、アメリカの国家利益に資すると証明できれば雇用主スポンサーなしに申請できる。研究者・医師・エンジニア等が活用するルート。

要件は2017年の基準改定(Matter of Dhanasar)以降、より柔軟に運用されるようになった。大まかに「相当のメリットと重要性のある取り組みであること」「その取り組みを前進させる実力があること」「雇用主要件の免除がアメリカの国益にかなうこと」の3要件で審査される。

EB-3:専門職・技術職・非熟練労働者

労働証明書(PERM)が必要で、雇用主スポンサーが必須。処理期間は長い傾向がある。

EB-5:投資家移民

最低$800,000(ターゲット雇用地区)または$1,050,000の投資と、10人以上の雇用創出が条件。ハードルは高いが抽選はなく、国籍による優先日の差も少ない。

待ち時間の現実

ビザカテゴリと出身国によって「優先日」が異なり、永住権取得までの期間が大きく変わる。インド・中国出身者の場合はEB-2・EB-3で数十年待ちというケースもある。

日本人の場合は優先日が相対的に早く動くことが多いが、それでもEB-2で1〜3年程度、EB-3でさらに長くなることがある。USCISのビザ公報(Visa Bulletin)で毎月更新される優先日を確認する習慣をつけると、自分のケースの見通しが立てやすい。

実務上の注意点

ビザ戦略は個人の状況(職種・雇用主の協力度・学歴・資産・業績)によって大きく変わる。「どのビザが自分に合っているか」という判断は、移民法専門の弁護士(Immigration Attorney)に相談するのが現実的な選択肢だ。


参考: USCIS「H-1B Cap Season」、米国務省「ビザ公報(Visa Bulletin)」、USCIS「EB-2 NIW(Matter of Dhanasar)」、米国務省「E-2 Treaty Investor Visa」

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