ベトナムの賃貸デポジットが返ってこない——退去時トラブルを避ける契約交渉術
ベトナムの賃貸アパートでデポジット(保証金)が返還されないトラブルが頻発する。契約書の確認ポイント、退去時の証拠保全、交渉のコツを解説。
この記事の日本円換算は、1USD≒155円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(USD)の金額を基準にしてください。
ベトナムで賃貸アパートを退去するとき、大家が「壁に汚れがある」「エアコンの修理費がかかる」と言ってデポジット全額を没収する。在越日本人のFacebookグループで毎月のように報告されるトラブルだ。
デポジットは通常2ヶ月分の家賃。ホーチミンの駐在員向けアパートなら$1,000〜$2,000(約155,000〜310,000円)が消える。
ベトナムの賃貸契約の特徴
ベトナムの賃貸契約には標準フォーマットがない。大家が用意した契約書にそのままサインするケースが多い。英語版が用意されていても、ベトナム語版との内容が異なることがある。法的にはベトナム語版が優先される。
デポジットに関する条項で確認すべきポイントは3つ。返還条件、返還期限、差し引き可能な項目の定義。これらが曖昧な契約書は、退去時に大家の一方的な解釈が通ることになる。
入居時にやるべきこと
入居日に部屋の状態を動画と写真で記録する。壁の傷、床の汚れ、設備の動作確認——全てタイムスタンプ付きで保存する。この記録を大家にメール(またはZalo)で送り、「入居時の状態はこの通りです」と確認を取る。
家具・家電のリスト(Inventory List)を作成し、双方が署名する。このリストがないと、退去時に「この家電は最初からあった」「いや、なかった」という水掛け論になる。
退去時の交渉
退去の30日前に書面で通知するのが一般的だ(契約書の通知期間を確認)。退去前に大家と一緒に部屋を確認し、問題箇所を合意する「退去チェック」を行う。
大家がデポジットの返還を渋った場合、まず冷静に契約書の条項を示す。感情的にならず、証拠(入居時の写真・動画)を提示する。
それでも解決しない場合、Ward(坊)の人民委員会に調停を依頼する手段がある。法的拘束力はないが、大家への心理的圧力になる。最終手段は弁護士を通じた法的請求だが、金額と手間を考えると現実的でないケースも多い。
USD建て vs VND建て
外国人向けアパートの家賃はUSD建てが一般的だ。ただしベトナムの法律上、国内取引はVND建てが原則。契約書にはVND表記が併記されていることが多い。
デポジットの返還もUSDで受け取れるか確認しておく。VNDで返還された場合、両替レートで目減りすることがある。
不動産エージェントの活用
日系の不動産エージェント(R&B Vietnam、サイゴンエステート等)を通すと、契約書のチェックと退去時のサポートが受けられる。仲介手数料は通常1ヶ月分の家賃だが、デポジットトラブルを回避するための保険と考えれば高くない。
自分で物件を探してFacebookグループやBatdongsan.com.vnで大家と直接契約する場合は、契約前にベトナム語が読める友人か弁護士に契約書を見てもらうことを強く推奨する。