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ベトナムコーヒー文化——カフェ・スア・ダとローカルカフェの世界

ベトナムのコーヒーはただの飲み物ではなく、時間の使い方そのものだ。カフェ・スア・ダの作り方から、ローカルカフェの選び方まで在住者目線で整理する。

2026-04-28
ベトナムコーヒーカフェローカル食文化

この記事の日本円換算は、10,000VND≒95円で計算しています(2026年4月時点)。

ベトナムのカフェで注文してから飲み終わるまで、最低でも10分はかかる。コーヒーがゆっくり落ちてくるのを待つ時間が、ベトナムのコーヒー文化の核心にある。

カフェ・スア・ダとは何か

Cà phê sữa đá(カフェ・スア・ダ)は、アイスミルクコーヒーのことだ。ロブスタ豆を細かく挽いたコーヒーを、フィン(phin)と呼ばれるアルミ製の小さなフィルターでゆっくりドリップし、コンデンスミルクの上に落とす。氷を入れてかき混ぜて飲む。

価格はローカルカフェで15,000〜25,000VND(約145〜240円)。チェーン系カフェ(ハイランズコーヒー、コーラン等)だと35,000〜55,000VND(約335〜525円)程度になる。

ロブスタ豆はアラビカ豆より苦味とカフェイン量が多い。コンデンスミルクとの組み合わせは、砂糖の甘さで苦みを包み込む計算された味だ。薄いコーヒーに慣れた日本人にとっては最初かなり濃く感じる。

ローカルカフェの3つの種類

在住者が通うカフェにはざっくり3タイプある。

路地のプラスチック椅子カフェ(quán cà phê vỉa hè)
歩道に小さなプラスチック椅子とテーブルを並べただけの店。コーヒー1杯15,000〜20,000VND(約145〜190円)。常連の地元住民が朝6時台から集まる。注文はほぼ指差しで通じる。朝のバインミーと一緒に頼むのが定番だ。

コンセプトカフェ(cà phê phong cách)
内装にこだわった写真映えする店。ハノイ旧市街やホーチミンのビンタン区に多い。コーヒー45,000〜80,000VND(約430〜760円)。観光客も多いが、20〜30代の地元若者も普通に使う。Wi-Fiが強くて作業向きの店もある。

ワーキングカフェ(cà phê làm việc)
スタバ的な位置づけで、フリーランスやリモートワーカーが集まる。コーヒーより長時間滞在できる環境を売っている。1杯50,000〜70,000VND(約475〜665円)で数時間粘れる。

エッグコーヒー(cà phê trứng)

ハノイ発祥のエッグコーヒーは、卵黄・コンデンスミルク・コーヒーを混ぜて泡立てたクリームを濃いコーヒーの上に乗せる。温かい版とアイス版がある。価格は35,000〜50,000VND(約335〜475円)。

ギアリン(Giảng)は1946年からある老舗で、エッグコーヒー発祥とされる店だ。ハノイのディンティエンホアン通りにある。行列ができているが回転は速い。

コーヒー農業の背景

ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国(ブラジルに次ぐ)で、生産量の約90%がロブスタ種だ。主要産地は中部高原のダクラク(Đắk Lắk)省で、ブオンマトゥオット(Buôn Ma Thuột)が「コーヒーの首都」を自称している。

農家の平均栽培面積は約1〜2haと小規模で、大半がコープや農協を通じて輸出業者に販売する。輸出先の7割前後がドイツ・アメリカ・イタリア向け。現地での消費拡大は比較的最近のトレンドだ。

在住者が知っておくと便利なこと

アイスを頼むと氷が大量に入ってくる。気温35度超えの屋外なら溶ける前に飲み切れるが、エアコンの効いた室内では薄まる前に飲んだほうがいい。

「ít đá(イット・ダ)」で氷少なめを指定できる。「không đá(コン・ダ)」でアイスなしになる。

甘さが苦手な場合は「ít ngọt(イット・ゴット)」または「không đường(コン・ドゥオン)」で砂糖なし・控えめを伝えられる。ただし初めて行くローカルカフェでは通じないこともあるので、指差しか翻訳アプリを使うほうが確実だ。

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