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コムタムは「砕けた米」の料理だった——サイゴンの朝食文化と格差の交差点

コムタム(Com tấm)は「砕き米」を使ったホーチミンのソウルフード。かつては貧しい人の食べ物だった砕き米が、今では観光客も行列を作る名物になった経緯と、食から見えるベトナムの社会変化を探る。

2026-06-01
コムタムホーチミン朝食ストリートフード南部料理

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「砕けた米なんて食べたくない」——かつてはそう思われていた米がある。

コムタム(Cơm tấm)は、精米工程で割れた「碎米(くだけごめ)」を使った料理だ。完全な粒の米より安価で、かつては貧困層の食べ物とされていた。それが今、ホーチミン市(旧サイゴン)を代表する朝食として、外国人観光客も並ぶ人気料理になっている。

コムタムが生まれた場所

コムタムはホーチミン(南部)を発祥とする料理で、ハノイではあまり見かけない。南部の食文化を代表するひとつだ。

砕き米の食感は通常の米とは少し違い、粒が不均一で噛むと独特の柔らかさがある。この食感を好む人が多く、「普通の米より好き」という声も珍しくない。

乗せるものの多様さ

コムタムの上には様々なトッピングが乗る。代表的なのが「スーン(Sườn)」と呼ばれるレモングラス風味のグリルポークリブ。他に目玉焼き(Bì chả trứng)、細切りポークスキン(Bì)、蒸し豚肉ローフ(Chả)などが組み合わされる。

ニョクマム(魚醤)ベースのタレとスライスしたキュウリ・トマト・刻み紫玉ねぎで食べる。

値段は一般的な屋台で35,000〜60,000VND(約$1.5〜2.5)程度が目安だ(店・トッピングによって変動)。

朝食から見えるベトナムの格差変化

コムタムが「庶民の食べ物」から「観光地化した名物」になった変化は、ベトナムの経済成長と観光産業の発展を映している。

観光客向けに値段が上がった観光地的な店と、地元民が日常的に利用する安い屋台の間に、価格の二重構造が生まれている。同じコムタムでも、食べる場所によって2〜5倍の価格差があることは珍しくない。

「観光客価格に怒る地元民」という構造はホーチミンの多くの食文化で見られ、コムタムもその典型例のひとつだ。

日本人との相性

コムタムは日本人の口に合いやすい料理として在住者の間で定評がある。グリルされた豚肉・白米・卵——日本の定食に通じる「安定感」がある。

在住日本人の中には「毎朝コムタムを食べている」という人もいる。近所の屋台の「いつもの味」が生活の一部になる——これがベトナム在住生活の心地よさの一側面だ。

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