ホーチミンのクラフトビール革命:bia hơiからIPAへの変容
路上の量り売りビール「bia hơi」文化を持つベトナムに起きたクラフトビールブーム。外国人経営者・地元ブルワリーの台頭と、飲み屋文化の変化を解説。
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ベトナムには「bia hơi(ビア・ホイ)」という路上の樽生ビール文化がある。日本円で20〜30円程度(0.2〜0.3USD)の極安ビールで、プラスチックの低い椅子に座って道端で飲む。ハノイの旧市街ではこの光景が観光名所にもなっている。
このbia hơi文化の国で、$6〜$10のクラフトビールが売れるようになった。
クラフトビールの台頭
ホーチミンのクラフトビールシーンは2015〜2020年頃に急速に成長した。外国人居住者が増え、スペシャルティコーヒーやクラフトビールへの需要が生まれた。
欧米人オーナーや帰国子女のベトナム人起業家が開いたブルワリーパブが先行し、「Pasteur Street Brewing Company」「Heart of Darkness」などが現地で評判を集め、輸出も始めた。
代表的なクラフトブルワリー
Pasteur Street Brewing Company:ベトナム産食材(ドラゴンフルーツ・ジャスミン・タマリンド等)を使ったユニークなフレーバービールで知られる。1杯$5〜$8程度。輸出品として日本でも一部入手できる。
Heart of Darkness Brewery:「闇の奥」という名前はコンラッドの小説から。スタウト・ポーター系が充実している。
BiaCraft(ビアクラフト):チェーン展開しており、在住外国人に広く知られる手軽なクラフトバー。1杯$3〜$6でタップビールが飲める。
bia hơiとの共存
クラフトビールが成長しても、bia hơiはなくならない。むしろ住み分けが明確になっている。「毎晩bia hơiで仕事後に一杯」というローカル文化と、「週末にクラフトバーで友人と特別な一杯」という外国人・富裕層ベトナム人文化が並存している。
在住日本人はいずれも楽しんでいる人が多く、「bia hơi体験は必須」「クラフトもレベルが上がってきた」という両方の感想がある。
飲食業界としての成長
クラフトビール産業はベトナムのホスピタリティ・観光産業の一部として成長している。外国人向け飲食街として知られるブイビエン通り(Bùi Viện)周辺は「バックパッカー街」としての性格を保ちながら、より多様な飲食・バーが増えてきた。
ホーチミンのクラフトビールは品質が上がり続けており、「東南アジアのクラフトビールシーンで注目すべき都市」として海外でも認識されてきている。