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ベトナムの大学制度と外国人留学の現状

ベトナムの大学進学競争は日本より激しい。国立大学の合格倍率・授業料・外国人向け留学プログラムの実態を、在住者の視点で整理します。

2026-04-23
大学留学教育ベトナム国立大学

この記事の日本円換算は、1VND≒0.006円で計算しています(2026年4月時点)。

「ベトナムの子どもは勉強するよね」——在住外国人がよく口にする印象だ。実際にその背景を調べると、日本とは比べ物にならない受験競争の構造が見えてくる。

大学進学競争の実態

ベトナムには2024年時点で約500校の大学・短期大学が存在する。国立大学・地方大学・私立大学が混在しているが、就職市場での評価は国立上位校に集中している。

最難関とされるのがハノイ国家大学(VNU Hanoi)とホーチミン国家大学(VNU-HCM)の傘下校群だ。工学部や経済学部の競争率は20〜30倍に達することもある。毎年6月に実施される大学入学共通試験(THPT Quốc gia)の結果が大学合否を決める仕組みで、試験日に向けて中学生の頃から塾通いが始まる。

授業料は国立大学で年間15,000,000〜25,000,000VND(9万〜15万円)程度。私立大学は年間40,000,000〜80,000,000VND(24万〜48万円)に上がる。ベトナムの平均的な世帯収入と比較すると、大学教育は決して安い買い物ではない。

外国人留学の現状

日本人がベトナムの大学に進学・留学するルートは大きく2つある。

正規留学(学位取得): ベトナム語での授業に対応できることが前提になる。入学審査はTOEFL/IELTSではなくベトナム語能力試験(VSTEP)または独自の語学テストが求められる大学が多い。英語で授業を受けられる国際学部を設けている大学もあるが、選択肢は限られる。

交換留学・短期プログラム: こちらは英語対応が整っている。ハノイ国家大学・ホーチミン経済大学(UEH)などは日本の大学との協定を締結しており、半年〜1年の交換留学制度がある。費用は寮費込みで月150,000〜200,000VND(900〜1,200円)程度で済む場合もある。

ベトナムで教育関連の仕事をする

在住外国人がベトナムの教育分野で働く場合、英語教師が最も一般的なルートだ。TESOL/CELTAなどの資格があれば、ハノイ・ホーチミンの語学スクールや国際学校での採用可能性がある。

月収は学校の種別・経験によって異なるが、語学スクールで月25,000,000〜35,000,000VND(15万〜21万円)、インターナショナルスクールで月40,000,000〜70,000,000VND(24万〜42万円)程度が目安とされている。

日系企業でベトナム人スタッフへの日本語教育を担当する日本人講師も一定の需要がある。ただし労働許可証(Work Permit)の取得が必要で、専門職要件(大学卒業+3年以上の職歴)を満たす必要がある。

教育熱と「暗記文化」の議論

ベトナムの教育をめぐる国内の議論で繰り返し登場するのが「詰め込み・暗記型教育からの脱却」だ。2018年から始まった教育改革(General Education Curriculum)では、批判的思考・プロジェクト型学習の導入が目標に掲げられている。

実際の教室がどこまで変わっているかは、学校・教師によって差がある。国立上位校の一部では英語によるディスカッション型授業が定着しつつある一方、地方の公立学校では依然として教師主導の一方向型授業が多い——現地で教育関係者と話すと、そういう温度差がある。

ベトナムの教育費が安いことは数字の上では事実だ。ただ「安さ」の意味を正確に理解するには、大学ランキングより就職市場での大学ブランドの重みと、そこに至るまでの受験競争のコストを合わせて見る必要がある。

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