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ベトナムで外国人が会社を設立する——100%外資の現実と手続きの壁

ベトナムでの外資100%会社設立の実態を解説。資本要件・業種規制・手続き期間・現地パートナーの必要性まで、法人設立を検討する在住外国人向けの実践ガイド。

2026-04-26
会社設立外資規制法人設立ビジネスビザ投資ライセンス

この記事の日本円換算は、1USD≒155円で計算しています(2026年4月時点)。ベトナムの法人設立費用はUSD建てが一般的です。

「ベトナムで起業したい」という相談を受けるとき、必ず最初に聞くことがある。「その業種は外国人に開放されていますか?」——多くの人がここで詰まる。

ベトナムの外資規制は複雑で、WTO加盟時に開放された業種と、依然として外国人に閉じられている業種が混在している。「100%外資でOK」という言葉を信じて進んだものの、実際には条件付きだったというケースは珍しくない。

外資規制の基本構造

ベトナムの外資参入は3つのカテゴリに分かれる。

完全開放業種: 製造業・ITサービス・卸売業の多くは100%外資で参入可能。日系企業の多くはここに入る。

条件付き開放業種: 小売業・物流・教育・医療・不動産など。外資100%でも可能だが、店舗数制限や特定の許可が追加で必要になる。外資の小売業は「経済需要テスト(ENT)」という審査を通過しないと2店舗目以降を出せない規制がある。

外資禁止業種: 報道・放送・森林管理など。ベトナム人パートナーとの合弁でも参入不可。

小さな飲食店を開きたいという個人事業レベルの話であっても、外国人は法人格が必要で、飲食業は条件付き開放業種に入ることがある。「日本で言うところの個人事業主」という形態はベトナムでは外国人には認められていない。

設立の手続きと期間

外資100%での有限会社(LLC相当)設立の基本的な流れ:

  1. 投資登録証明書(IRC)の取得: 計画投資局(DPI)に申請。通常15営業日。業種によっては追加書類が必要で1〜3ヶ月かかる場合がある
  2. 企業登録証明書(ERC)の取得: IRCの後に申請。3〜5営業日
  3. 税務登録・印鑑作成・銀行口座開設: ERCの後に実施。2〜4週間
  4. 業種別ライセンス: 飲食・教育・医療などは別途ライセンス取得が必要

全体では最短で1〜2ヶ月、業種によっては半年以上かかる。

法定資本金に最低額の規定はないが、業種によって「実態に見合った資本」を求められる。通常は USD 10,000〜50,000(約155万〜775万円)が目安とされることが多い。

現地パートナーは必要か

「ベトナムではベトナム人パートナーが必要」という話をよく聞く。これは完全には正しくない。

100%外資が許可された業種であれば、パートナー不要で設立できる。ただし実務上は、許認可の取得・行政とのやりとり・労務管理などで現地パートナーや信頼できる現地スタッフの存在が大きく助けになる。

条件付き開放業種では、ベトナム人との合弁(Joint Venture)が事実上の条件になることもある。その場合、株主間契約の設計が非常に重要になる。紛争時の処理、株式の譲渡制限、経営権の所在——ここを曖昧にしたまま進めて後から問題になるケースは実際に多い。

コストの現実

設立にかかる費用の目安(弁護士・会計事務所への代行費用込み):

  • 法務・設立代行費: USD 1,500〜5,000(約23万〜78万円)
  • 行政手数料・翻訳・公証: USD 500〜1,000(約7.75万〜15.5万円)
  • 弁護士レビュー(任意): USD 1,000〜3,000(約15.5万〜46.5万円)

ハノイとホーチミン市では書類の雰囲気が多少異なる。ハノイの方が法務面で厳格とされ、ホーチミン市は手続きがやや速いと言われるが、担当者次第の部分も大きい。

「後から変えられない」決定を先に整理する

業種・所在地・資本構成——これらは設立後に変更しようとすると追加の時間とコストがかかる。特に業種の追加は再度の投資登録が必要になることがある。

「まず作って後で変える」という進め方は、ベトナム法人では慎重になった方がいい。設立前に使う時間を惜しまないこと。それが結果的に最も短いルートになる。

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