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ベトナム在住外国人の所得税——183日ルールと申告義務

ベトナムで働く日本人が知っておくべき所得税の仕組み。183日を境に変わる税率区分、申告のタイミング、日越租税条約の活用まで実務ベースで解説します。

2026-04-21
税金所得税確定申告

この記事の日本円換算は、1VND≒0.006円で計算しています(2026年4月時点)。

ベトナムで働き始めると、最初に直面するのが所得税の区分問題です。「居住者」か「非居住者」か——この判定によって税率が大きく変わるため、着任早々に把握しておく必要があります。

183日ルールとは

ベトナム税法では、1暦年(1月1日〜12月31日)または連続する12ヶ月間にベトナムに183日以上滞在した場合、「税務上の居住者(Tax Resident)」として扱われます。

居住者と非居住者では課税の仕組みが根本的に異なります。

区分課税対象税率
居住者全世界所得累進課税(5〜35%)
非居住者ベトナム源泉所得のみ一律20%

着任初年度で183日に達しない場合は非居住者扱いとなり、一律20%の源泉徴収が適用されます。一見シンプルですが、翌年に居住者になった時点で過去の申告を遡らないよう、最初から記録を残しておくことが重要です。

累進税率の実態

居住者に適用される累進税率は以下のとおりです(個人所得税=PIT)。

課税所得(月額・百万VND)円換算(概算)税率
~5百万VND~30,000円5%
5〜10百万VND3〜6万円10%
10〜18百万VND6〜10.8万円15%
18〜32百万VND10.8〜19.2万円20%
32〜52百万VND19.2〜31.2万円25%
52〜80百万VND31.2〜48万円30%
80百万VND超48万円超35%

ベトナムの日本人駐在員の給与はドル建て・円建てが多く、高額所得者は最高税率35%に達するケースも珍しくありません。

申告義務と会社経由の源泉徴収

雇用主経由の給与所得については、原則として会社が毎月源泉徴収を行います。ただし以下のケースでは個人申告が必要です。

  • 複数の雇用主から収入がある場合
  • フリーランス・業務委託収入がある場合
  • 年間調整申告(Annual Settlement)で税額が変動する場合

年次確定申告の期限は翌年3月31日。過去に源泉徴収された額と実際の税額に差がある場合は、追徴または還付が発生します。

日越租税条約の活用

日本とベトナムの間には租税条約(2013年発効)があり、ダブルタクスを避けるための規定が設けられています。ベトナムで課税された所得は、日本での確定申告時に「外国税額控除」として差し引くことができます。

ただし、適用には要件があります。租税条約の恩恵を受けるには雇用主経由での手続きが必要なケースもあるため、着任後速やかに会社の経理部門または現地の税理士に確認するのが確実です。

実務上の注意点

出張者と駐在員では滞在日数のカウント方法が異なります。ベトナム入出国の日付は、旅券のスタンプまたは出入国カード(電子記録)で確認できますが、滞在日数が183日前後になる場合は慎重に管理してください。

また、ベトナムでは税務当局(General Department of Taxation)がデジタル化を進めており、個人識別番号(Tax Code)との紐付けが厳格になっています。日本のマイナンバーに相当するTax Codeの取得を、就労開始から30日以内に行うことが義務付けられています。

不明点は現地の税理士(PWC・Deloitte等が日本語対応)に相談する選択肢があります。

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