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ハロン湾の隣に住む——クアンニン省の在住外国人リアルレポート

世界遺産ハロン湾に隣接するクアンニン省ハロン市での生活実態を紹介。観光地特有の物価構造、外国人コミュニティ、ハノイとの違いまで在住者視点で解説。

2026-04-26
クアンニン省ハロン湾ハロン市観光地生活地方移住

この記事の日本円換算は、1USD≒155円で計算しています(2026年4月時点)。ベトナムでは家賃・外国人向け物価はUSD建てが一般的です。現地のVND価格は1VND≒0.006円を目安にしてください。

ハロン湾と聞けば、エメラルドグリーンの海に石灰岩の島々が浮かぶあの絶景が浮かぶ。観光客が2〜3日で訪れ、クルーズを楽しんで去る場所。そこに「住む」という選択肢を選んだ外国人が、少数ながら確かにいる。

ハロン市という街

クアンニン省の省都ハロン市(旧称ホンガイ)は、ベトナムで最も豊かな省のひとつに位置する。石炭産業とセメント産業で成長し、今は観光業と製造業が加わった。人口は約30万人。ハノイからは約180km、高速道路と橋が整備されてから車で約2時間半で到達できる。

ハノイと比べると何が違うか。一番の違いは「外国人の少なさ」だ。ハノイには在留外国人コミュニティが厚く、日本語が通じる場所も多い。ハロン市は観光客が多い分、接客業の英語力はある程度あるが、日常生活で日本語が通じる場面はほぼない。日本人在住者は産業関連(製造業の駐在員など)に限られ、10〜20人程度とみられる。

観光地に住む逆説

観光地に住む最大の問題は、物価の「二重構造」だ。

外国人と観光客向けの価格と、地元住民向けの価格が明確に分かれている。クルーズ乗り場周辺のカフェでコーヒーを頼めば、ローカルカフェの3〜4倍の値段が当たり前だ。ただしこれは「ハロン湾観光エリア」の話で、バイチャイやホンガイのローカル市場に足を運べば、ハノイとほぼ変わらない物価で食材が揃う。

生活費の目安(月額):

  • 1LDKアパート(外国人向け): USD 300〜500(約46,500〜77,500円)
  • ローカル食堂での食費(1食): 40,000〜80,000VND(約240〜480円)
  • バイク(中古): 800〜1,500USD(約124,000〜232,500円)

車よりバイクが現実的。道路事情はハノイほど複雑でないが、観光シーズンには観光バスが多く走る。

観光地ゆえのメリット

逆に、観光地ならではの恩恵もある。

ボートのチャーターが地元価格で頼める。週末に地元の船頭に連絡すれば、観光客ツアーの3分の1以下の費用で湾をめぐることができる。「ハロン湾に住んでいる人間」として地元コミュニティに溶け込むと、観光客には絶対に見えない生活が広がる。

また、ハロン市は観光インフラへの投資が続いている。空港(ヴァンドン国際空港)も2019年に開業し、ダナン・ホーチミンへの国内線も通った。ハノイより静かで、週末に都市の喧騒から離れたい在住者には評価が高い。

日本人が住む現実

製造業の駐在員が多く、家族連れは少ない。子どもの教育環境が課題で、インターナショナルスクールはハノイほどの選択肢がない。独身か夫婦2人での赴任が多い印象だ。

ローカルのベトナム語学校はあるが、英語対応の医療機関は限られる。ハノイまで移動すれば選択肢が増えるとはいえ、緊急時の医療アクセスは事前に確認しておきたい。

観光地の隣に住むということは、毎日がアトラクションの隣にいるということでもある。ハロン湾の夕暮れが「非日常」から「ただの帰り道の景色」に変わるのに、どのくらいかかるのか。それは住んでみなければわからない。

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