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医療・保険

ベトナムの医療事情——救急車が来ない国で、日本人はどう病院にかかるか

ベトナムで病院にかかるときの流れ・費用・保険の選び方を解説。ホーチミン・ハノイの日本語対応クリニック情報、救急時の現実的な対処法まで。

2026-03-26
医療費保険クリニック日本語対応ホーチミンハノイ

この記事の日本円換算は、1USD≒158円で計算しています(2026年3月時点)。ベトナムの国際クリニックではUSD建ての料金提示が一般的です。

ベトナムの救急車番号は115。でも実際に115に電話して助けが来るかというと、かなり心もとない。

到着に時間がかかる、英語が通じない、搬送先が公立病院(設備・衛生面が不安)になる——。在住日本人の多くは、緊急時に115ではなく日系クリニックか国際病院に直接電話するか、Grab(配車アプリ)で最寄りの病院に向かう。

ただし、ホーチミンにもハノイにも日本人医師がいるクリニックが複数あり、日本語で受診できる環境は意外と整っている。問題は「どこに行けばいいか」を体調が悪くなる前に知っておくこと。

ベトナムの医療制度——「公立」と「私立」は別世界

ベトナムの医療には、公立病院と私立病院(国際クリニック含む)の2つの世界がある。

公立病院私立病院・国際クリニック
費用安い(数百円〜)高い(日本と同等かそれ以上)
設備古い最新設備
言語ベトナム語のみ英語・日本語対応あり
待ち時間非常に長い予約制で短い
外国人利用可能だが非推奨一般的

日本人が利用するのはほぼ私立病院・国際クリニック。公立病院は設備・衛生・言語の問題があり、緊急搬送以外で使うことはほとんどない。

注意点として、同じ私立病院でも「国際部門」で受診すると、ローカル患者の1.5〜2倍の料金になることがある。

医療費の目安

診療内容国際クリニック日本円換算(目安)
GP(一般医)初診USD 35〜605,500〜9,500円
専門医(初診)USD 40〜1106,300〜17,400円
救急外来USD 20〜703,200〜11,100円
入院(1泊・共有部屋)USD 30〜754,700〜11,900円
入院(1泊・個室)USD 115〜87518,200〜138,000円

ローカルの私立病院であれば、GP診察がUSD 8〜27(約1,300〜4,300円)程度。国際クリニックより安いが、日本語対応はない。

東南アジアの中ではシンガポール・バンコクより安いが、「ベトナムだから安い」と一括りにはできない。国際クリニックの個室入院はUSD 875/泊(約14万円)というケースもある。

日本語対応のクリニック——ホーチミン・ハノイに複数ある

ホーチミン

ロータスクリニック

ベトナム初の日系クリニック。日本人医師・看護師が常駐。風邪からちょっとした怪我まで、プライマリーケアを日本語で受けられる。日本の海外旅行保険のキャッシュレス対応あり。

  • エリア: 1区

DYMメディカルセンター(1区院・7区院)

日本人医師(内科全般)が常駐。1区と7区フーミーフンに2院ある。7区院はファミリー向け。日本人受付あり。ベトナム人医師の場合は日本語通訳が同席する。

  • 1区院: 1区
  • 7区院: 7区フーミーフン

ハノイ

さくらクリニック

ハノイ初の日系クリニック(2014年開業)。日本人医師2名(内科)と日本人歯科医1名が在籍。MRI・CT等の先進設備を備えている。

ロータスクリニック(ハノイ)

ホーチミンのロータスクリニックのハノイ院。日本人医師・看護師常駐で、全て日本語対応。

DYMメディカルセンター(ハノイ院)

カウザイエリアに立地。日本人医師が着任済み。

受診の流れ

  1. 予約: 電話またはLINE(ベトナムではLINEよりZaloが一般的だが、日系クリニックは電話・LINE対応が多い)
  2. 来院: パスポート、保険証書(保険証券番号がわかるもの)を持参
  3. 受付: 日系クリニックなら日本語で対応
  4. 診察
  5. 薬の受け取り: 院内薬局または外部の薬局で処方薬を受け取る
  6. 会計: キャッシュレス対応保険なら窓口負担なし。そうでなければ立替払い

保険の選び方

駐在員の場合

会社のグループ保険が手配されるケースがほとんど。確認すべきポイント:

  • キャッシュレス対応: 日系クリニック(ロータス・DYM等)でキャッシュレス受診できるか
  • カバー範囲: 外来・入院・歯科・健康診断まで含まれるか
  • 家族カバー: 帯同家族も同じ保険か

現地採用の場合

会社のグループ保険があっても薄いケースがある。民間医療保険を検討する価値がある。

  • ローカル保険(Bao Viet、Pacific Cross等): 年額USD 300〜1,200。入院・手術をカバー。外来・歯科はオプション
  • 国際医療保険(BUPA、Cigna、AXA等): 年額USD 1,200〜5,000以上。国際クリニックでの診療、本国送還費用等をカバー

ベトナムでは2025年7月から、90日以上滞在の外国人労働者にベトナム社会保険への加入が義務付けられる動きがある。ただし国際保険との併用が一般的。

旅行・出張で来る場合

  • 海外旅行保険に加入していれば、ロータスクリニック・DYM等でキャッシュレス受診できることが多い
  • 食あたりが最も多い症状。胃腸薬の持参を勧める
  • デング熱のリスク: 特に雨季(6〜11月)は蚊対策が必要
  • 水道水は飲まない: ミネラルウォーターを購入。氷にも注意
  • 薬局: ベトナムでは処方箋なしで多くの薬が買える(抗生物質含む)。ただし品質にばらつきがあるため、Guardianなどのチェーン薬局を利用する方が安全

緊急時の対応

連絡先番号
救急車115(実用性に乏しい)
警察113
消防114
統一緊急通報番号112
在ベトナム日本国大使館(ハノイ)024-3846-3000
在ホーチミン日本国総領事館028-3933-3510

115番(救急車)は期待できない。 到着が遅い、英語が通じない、搬送先が公立病院になるといった問題がある。

現実的な対応:

  • 日系クリニック(ロータス、DYM、さくら等)に直接電話して相談する
  • 国際病院(Vinmec、FV Hospital等)の救急部門に直接向かう
  • Grab(配車アプリ)で最寄りの病院に行く
  • ホテル滞在中はフロントに依頼する

日本語対応クリニック早見表

ホーチミン

クリニックエリア
ロータスクリニック1区
DYMメディカルセンター(1区院)1区
DYMメディカルセンター(7区院)7区フーミーフン

ハノイ

クリニックエリア
さくらクリニック
ロータスクリニック(ハノイ)
DYMメディカルセンター(ハノイ院)カウザイエリア

まとめ——日系クリニックの連絡先を「体調が良いうちに」控えておく

ベトナムの医療で日本人が一番困るのは、緊急時に頼れる公的インフラが弱いこと。救急車が来ない、公立病院は言葉が通じない。

でもホーチミンにもハノイにも日系クリニックがあり、日本語で受診できる環境は整っている。費用もシンガポールやドバイに比べれば手頃。

やることは3つ。

  1. 日系クリニックの連絡先を控えておく — 体調が悪い状態で「ベトナム 日本語 病院」と検索するのは辛い
  2. 保険のキャッシュレス対応を確認する — ロータスクリニック・DYM等が保険ネットワークに入っているか
  3. 食あたり・蚊対策は渡航前から — 胃腸薬を持参、蚊除けを準備

ベトナムは医療インフラが発展途上だが、日本人向けの医療環境は年々整備されている。「どこに行けばいいか」を知っているかどうかで、いざというときの安心感がまったく違う。


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