旧都フエに住む——皇都の風格と静かな暮らしのバランス
ベトナム中部のフエはグエン朝の都だった歴史を持つ。世界遺産の城塞・宮廷料理・詩人の街——観光地として有名だが、実際に暮らす場所としての魅力と課題を探る。
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ハノイでも、ホーチミンでもない。もっとゆっくりした場所に住みたい——そう思ったとき、フエという選択肢がある。
フエとはどんな街か
フエ(Huế)はベトナム中部・トゥアティエン・フエ省の省都だ。人口は約40万人(推定)で、ホーチミン・ハノイに比べると小さい。
フォン(Hương)川沿いに広がる城塞都市は、グエン朝(1802〜1945年)が都を置いた歴史を持つ。1993年にユネスコ世界遺産に登録された王宮・廟・宮廷建築群が残っており、観光都市として知られている。
宮廷文化と食
フエは「ベトナム料理の頂点」とも言われる宮廷料理(Ẩm thực cung đình)の発祥地だ。グエン朝の王が食べたとされる料理を再現する高級レストランから、庶民のフエ料理(ブンボーフエ・バインコアイ・バインベオ等)まで、食の奥行きがある。
生活コストの低さ
ホーチミン・ハノイと比べて生活コストが低い。家賃・外食・交通費——数値は変動するが、ホーチミンの半分以下で生活できるという在住者の声がある。
外国人が快適に暮らせる月の生活費は$500〜800程度でも可能なエリアで、セミリタイア・フリーランス・デジタルノマドには魅力的だ。
課題:雨が多い・仕事が少ない
フエの気候は「雨が多い」という特徴がある。中部特有の冬(11〜2月)の長雨は、フエに移住した人が「想定外だった」と言いやすいポイントだ。
仕事の機会はホーチミン・ハノイより限られており、英語教師・観光業・リモートワーク以外の選択肢は少ない。「稼ぐ場所」ではなく「静かに暮らす場所」として選ぶのが現実的だ。
詩の街という文化的雰囲気
フエには詩人・芸術家・音楽家が集まる土壌がある。「詩の都」「サインソンの発祥地」——文化的な雰囲気が、「クリエイティブな仕事をしながら静かに生きたい」という志向の人を引き付ける。
「ホーチミンに飽きたらフエに来た」という外国人在住者が少数ながら存在する。大都市の刺激と静けさのバランスを求めるなら、フエは答えのひとつになりうる。