ハスの花で作るお茶——ベトナムの茶文化と「時間をかける」精神
ベトナムには「Trà Sen(トラ・セン)」と呼ばれる蓮(ハス)の花びらを使った高級茶がある。茶葉に香りを移す工程に数週間かかるこのお茶と、ベトナムの茶文化の奥深さを探る。
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コーヒー大国のイメージが強いベトナムに、繊細なお茶の文化がある。
「Trà Sen(トラ・セン)」——蓮(ハス)の花の香りを移した緑茶だ。
蓮茶の製造方法
蓮茶の作り方は手間がかかる。早朝、まだ開き切っていない蓮の花の中に茶葉を入れ、一晩かけて香りを吸わせる。翌朝、花から茶葉を取り出して乾燥させる。この工程を何度も繰り返すことで、茶葉に蓮の香りが重なっていく。
品質の高い蓮茶は、この香り付け工程を数回以上繰り返す(工程数は茶師・品質によって異なる)。
ハノイの蓮茶文化
蓮茶はハノイ周辺が本場とされており、タイ湖(Hồ Tây)周辺で収穫される蓮の花が上質とされてきた。ハノイの茶専門店では、100g単位での販売が一般的で、価格はグレードによって数十万〜数百万VND(数ドル〜数十ドル以上)と幅広い。
ギフトとして贈られることも多く、高級茶として食品ギフト市場でも需要がある。
ベトナムの緑茶文化
蓮茶以外にも、ベトナムには「Trà Xanh(トラ・サン、緑茶)」という伝統的な緑茶がある。北部では濃い緑茶を素焼きの小さな茶碗で飲む習慣が根付いており、「お茶を出す=歓迎のサイン」だ。
路地の小さな茶店・商店・民家——どこでも急須が用意されており、おじちゃんが「お茶どうぞ」と差し出してくれる場面はベトナム北部の日常だ。
コーヒー文化との共存
「ベトナムはコーヒー」というイメージがある一方で、「お茶の文化」も確かに存在する。
世代的には「年配の世代=お茶」「若い世代=コーヒー・ミルクティー・バブルティー」という傾向があるが、両方が併存している。
「朝、路地の茶屋でお茶をすすりながら新聞を読むおじさん」——このベトナムの光景は、コーヒー文化と並んで今も生きている。
外国人と蓮茶
日本からの観光客・在住者が「お土産に何がいいか」を考えるとき、蓮茶は選択肢のひとつになる。
コーヒー文化ばかり注目されがちなベトナムで、「こんなお茶があったのか」という発見は、この国の奥行きを感じるきっかけになる。