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サムスンがベトナムを変えた:製造業シフトの勝者が直面するもの

サムスン電子のベトナム進出がもたらした経済変革と、「チャイナプラスワン」戦略でさらに加速する製造業集積。日系企業の動向と在住者への影響を解説。

2026-04-12
製造業サムスンチャイナプラスワン外資誘致経済成長

この記事の日本円換算は、1USD≒150円で計算しています(2026年4月時点)。為替はUSD建てで表記します。

ベトナムのスマートフォン輸出の大部分は一社で作られている——サムスン電子だ。ベトナムはサムスンの最大の生産拠点となっており、スマートフォン・ディスプレイ・電子部品がハノイ周辺の工場から世界に出荷されている。

2023年のデータでは、ベトナムの輸出総額の約15〜20%をサムスン関連製品が占めるとされている。一企業がここまで国家の輸出構造を左右する関係は珍しい。

なぜサムスンがベトナムを選んだか

2008年頃から本格化したサムスンのベトナム投資は、人件費・政治的安定・インフラの改善・貿易協定(FTA)などが重なって加速した。ハノイ近郊のバクニン省・タイグエン省に巨大工場を建設し、地域全体の経済を引き上げた。

バクニン省やタイグエン省では、サムスン工場の雇用が地域の農村人口を工場労働者に変えた。一世代で農家から工場作業員・そして中間管理職へと変わる家族の話が地方メディアに繰り返し登場する。

「チャイナプラスワン」の受益者

米中関係の悪化と新型コロナのサプライチェーン混乱を背景に、中国からの生産移管先としてベトナムが最も注目された。アップル・サプライヤー(鴻海等)、インテル、LGなどが相次いでベトナムに投資を拡大した。

日系企業もこの流れに乗っており、東芝・三菱電機・富士通などが製造機能の一部をベトナムに移している。在住日本人の製造業駐在員が増えた背景はここにある。

製造業依存のリスク

サムスン依存はリスクでもある。2020年代に入り、サムスンが一部の生産をインドへ移管するという報道が出るたびに、ベトナムの「次はどこに行かれるのか」という不安が顕在化する。

ベトナム政府は「製造業から付加価値産業(半導体・EV・AI)への転換」を目標に掲げているが、インフラと人材の整備はまだ途上にある。

在住者への影響

製造業集積の波は日系サプライヤーの駐在需要を生み出し、ハノイ周辺の日本人人口増加につながった。また「ベトナムに工場を作りたい」という日本の中堅・中小メーカーが現地コンサルタントを求める需要も生まれている。この種の仕事でベトナムに移住した日本人も一定数いる。

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