急速に生まれる中産階級——ベトナムの経済成長が変えた生活観
ドイモイ政策(1986年)以降の経済成長で、ベトナムには中産階級が急速に生まれた。コンビニ・ショッピングモール・スマートフォン——消費の変化から、社会の変容を読む。
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1990年代のホーチミン市の写真と現在を見比べると、同じ街とは思えない変貌がある。
バラックと農地だった場所に超高層ビルが立ち、路上の屋台の隣にスターバックスがある。その変化を生きているのが、ベトナムの中産階級の人々だ。
中産階級の急成長
ボストンコンサルティンググループなどのリサーチでは、ベトナムの中産階級は2000年代以降に急増し、都市部を中心に消費層として確立しつつあるとされている(各リサーチ機関の推計より)。
具体的な定義は機関によって異なるが、「スマートフォンを所有し、外食・エンタメに可処分所得を使える層」という実態的な定義では、ホーチミン・ハノイを中心に確実に拡大している。
消費の変化
10年前と比べて変わったこと——コンビニ(CircleK・ミニストップ・Familymart)が街に増え、ショッピングモール(Vincom・Aeon Mall等)が郊外に建ち、ネットショッピング(Shopee・Lazada・TikiTiki等)が日常的になった。
外食文化も「屋台オンリー」から「カフェ・レストランを日常的に使う」方向に変化した層が増えている。
若い世代の価値観
1990〜2000年代生まれの「ミレニアル・Z世代のベトナム人」は、戦争を知らず、経済成長の中で育った世代だ。
インターネット・SNS・外来文化に親しみ、「海外旅行に行きたい」「英語を学びたい」「外資系で働きたい」という志向を持つ人が多い。
この世代の台頭が、ベトナムの消費市場・労働市場を変えつつある。
格差の拡大
中産階級の台頭は同時に格差の可視化でもある。農村部と都市部の収入差は縮まっていない。ホーチミン市内でも、高級マンションと密集した旧市街が隣接している。
「豊かになっている人がいる」という事実と「まだ豊かになれていない人がいる」という事実は、同じ都市の中に並存している。
日系企業にとっての意味
ベトナムの中産階級の成長は、「安い労働力だから進出する」から「消費市場として魅力的」という投資理由の変化につながっている。
日本の食品・化粧品・電機メーカーなどが「ベトナム人消費者」を意識した商品展開を進めているのは、この変化の結果だ。