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文化・社会構造の分析

路地の隅で修理屋が機械を直す——バイク修理屋が作るベトナムのインフォーマル経済

ベトナムの街角には至る所にバイク修理屋がある。タイヤ交換・チェーン調整・エンジン修理——この「路上のエコシステム」が、3,000万台以上のバイク社会を支える仕組みを探る。

2026-06-06
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この記事の日本円換算は、1USD≒157円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

ベトナムの街を歩いていると、歩道の端にオイルで黒くなった工具が並んでいる小さなスペースに出会う。椅子に座って煙草を吸っている男がいる。

バイク修理屋だ。

看板もなく、小屋もなく、路面の一角だけが「店舗」になっている。

ベトナムのバイク台数

ベトナムのバイク登録台数は7,000万台以上とも推計される(推定)。人口約1億人に対してこの台数は、世界有数のバイク大国だ。

バイクは通勤・通学・配達・商売——あらゆる移動手段として機能しており、バイクが止まれば多くの人の生活が止まる。

修理屋のエコシステム

バイク修理屋は大きく2種類に分かれる。

ひとつは整備工場・ホンダやヤマハの公式ディーラー系修理センター。もうひとつが路上・路地の「インフォーマル修理屋」だ。

インフォーマル修理屋は資格や登録が必ずしも必要なく、工具一式と技術があれば始められる。住んでいる街の住人のバイクを修理し、現金で収入を得る——規制の外側で機能するが、社会的な役割は大きい。

タイヤ交換50,000VND

パンク修理なら50,000VND(約$2)前後、タイヤ交換なら数十万VND(数ドル〜十数ドル)、エンジンオーバーホールなら数百万VND(数十ドル〜百ドル超)——作業の規模によって幅がある(相場の目安。地域・店によって変動)。

「言い値より安い正規料金」という概念が薄い世界で、常連客になることで信頼関係と適正価格を得る文化がある。

外国人の使い方

バイクを所有する外国人在住者は、「近所の修理屋のおじさん」との関係を大切にしているケースが多い。言葉が通じなくても、バイクを指さして症状を示せば、たいてい何とかなる。

「また来たか」という顔で作業してくれる近所の修理屋との関係は、ベトナム生活の温かい一側面だ。

デジタル化の波

GrabやBe(配達アプリ)の普及でバイク稼働率が上がる一方、電動バイク(Vinfast VinFast製など)の普及が始まり、修理技術の転換が求められている。

「ガソリンエンジンは直せるが電動は難しい」という路上修理屋の課題は、この産業の変わり目を示している。

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