Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
食・グルメ

ハノイとホーチミンは食文化が違う——ベトナム南北の味の差と歴史的背景

同じ「ベトナム料理」でも、ハノイ(北部)とホーチミン(南部)では味付け・食材・食べ方が大きく異なる。この食文化の差は気候・歴史・交易路の違いから生まれた。

2026-06-05
ベトナム料理南北差ハノイ料理ホーチミン料理食文化

この記事の日本円換算は、1USD≒157円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

「ベトナム料理が好きです」と言うとき、「北部のベトナム料理」と「南部のベトナム料理」は、実は別物に近い。

同じフォーでも、ハノイのフォーとホーチミンのフォーは、味が違う。

味付けの基本的な差

北部(ハノイ・周辺): 塩・ニョクマム(魚醤)ベースのシンプルな味付け。甘さを控えめにし、素材の風味を活かす傾向がある。フォーのスープは淡白でクリアだ。

南部(ホーチミン・メコンデルタ): 砂糖・ヤシ砂糖の使用量が多く、甘みが加わる。スープにも甘さがある。豆もやし・ハーブ類を大量に添えて「自分でカスタマイズする」スタイルが一般的だ。

この違いは「南部の方が砂糖・甘みに寛容」という味覚の傾向に現れており、日本人の多くは南部料理の方が口に合いやすいという声が多い(個人差あり)。

気候と食材の関係

北部は冬があり、寒い季節に体を温める料理が発達した。スープ・鍋料理・ゆで料理が多い。

南部は年間を通じて温暖で、熱帯の果物・野菜・ハーブが豊富だ。生の野菜・ハーブをたっぷり添える食文化は、南部の豊かな農業生産と結びついている。

歴史・交易の影響

南部は17世紀以降にベトナム人が入植した地域で、クメール(カンボジア)・チャム・中国系の食文化の影響を受けた。砂糖を多用するスタイルはカンボジア・タイ料理との接続も見える。

フランス植民地時代には、サイゴンが政治・経済の中心として繁栄し、バインミー(バゲットを使ったサンドイッチ)などフランス文化との融合が生まれた。

在住日本人の体験

「ハノイからホーチミンに転勤したら食べ物が全然違った」という話は在住日本人からよく聞かれる。スープの甘さ・ハーブの種類・「自分でトッピングを選ぶ文化」の有無——食の違いは生活習慣の違いにもつながる。

どちらが「本当のベトナム料理か」という問いは意味がない。北部は北部の、南部は南部の正統性がある。「ベトナム料理を知っている」と思っていたら、もう一方を食べてみると、まるで別の発見がある。

コメント

読み込み中...