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真夏のベトナムで電気を考える——成長が電力を追い越す国の現実

猛暑の続くベトナムの夏は電力需要がピークになる。急成長する経済とエアコン普及が電力供給を圧迫する構造を、在住者の生活実感とともに読み解く。

2026-08-14
電力気候経済インフラ

この記事の日本円換算は、1USD≒161円で計算しています(2026年6月時点)。為替は変動するので、現地通貨(USD)の金額を基準にしてください。

ベトナムの8月、エアコンをつけっぱなしにしたくなる日が続きます。気温も湿度も高く、電気がなければ夜も眠れない。この「みんながエアコンを欲しがる季節」こそ、ベトナムの電力供給が最も試される時期です。急成長する経済の足元で、電力がそれを追いかけるように増設を迫られている。在住者の暮らしの実感から、その構造が見えてきます。

成長が電気を食う

経済が伸びれば、電気の消費は増えます。工場が動き、オフィスが増え、家庭にエアコンや家電が普及する。ベトナムのように高い成長を続ける国では、電力需要が急速に膨らみます。

問題は、発電所や送電網の整備には時間がかかることです。需要は今日明日にも増えるのに、供給を増やすには年単位の工事が要る。この時間差が、ピーク時の逼迫を生みます。成長のスピードに、インフラが追いつききれない。

エアコンが需要を跳ね上げる

所得が上がると、まず手が伸びる家電のひとつがエアコンです。かつては贅沢品だったものが、徐々に標準になっていく。猛暑の季節に多くの家庭がエアコンを使えば、電力需要は一気に跳ね上がります。

これは豊かさの証でもあります。暑さを我慢せず、冷房で快適に過ごせる人が増えた。一方で、その快適さの総量が、夏のピークに電力網へ重くのしかかる。個人の快適と、社会全体の供給が、真夏にせめぎ合います。

エネルギーの綱渡り

ベトナムは水力・火力・再生可能エネルギーなど複数の電源を組み合わせていますが、需要の伸びに対して供給を安定させ続けるのは容易ではありません。天候によって水力が振れ、燃料価格に火力が左右される。供給は常に複数の変数の上で綱渡りをしています。

在住者としては、停電や電圧の不安定さに備えておくのが現実的です。といっても日常的に困るほどではなく、「成長中の国のインフラ」として受け止める範囲のことが多い。

快適さのコストを考える

エアコンの効いた部屋でこの暑さをしのげること自体、十数年前なら当たり前ではありませんでした。その快適さは、誰かが発電所を建て、送電網を引いた結果です。

ベトナムの夏に電気のありがたみを感じたら、それは経済成長とインフラ整備が、まだ追いかけっこの途中にあることの実感でもあります。スイッチひとつで涼しくなる裏側に、国全体のエネルギーをめぐる挑戦があります。

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