故郷を出て都市に向かう——農村から都市への移住と残される家族
ベトナムの経済成長の恩恵は都市部に集中している。農村の若者が都市の工場・サービス業に移住し、農村に高齢者と子どもが残される構造が生まれている。その実態と社会的影響を考える。
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ベトナムの農村で育った子どもが18歳になる。学校を終えて、ハノイかホーチミンへ向かう。
「ホーチミンに行けば仕事がある」——この認識は正しい。そして農村には、祖父母と子どもが残る。
都市への流入が続く
ベトナムの都市化率は2010年代後半から上昇が続いており、農村から都市への人口移動は経済成長とともに加速している(ベトナム統計総局のデータより)。
ホーチミン市・ハノイの人口はこの20年で大幅に増加しており、郊外の工業地帯・住宅地の拡張がその受け皿になっている。
農村に残されるもの
若者が都市に出ると、農村には何が残るか——高齢者・子ども(祖父母に預けられた子どもを含む)、そして農地だ。
働き手が減った農村では農業の後継者不足が進んでいる。農村の家族は都市に出た子どもからの送金(仕送り)に依存するケースが増えており、送金が途絶えると生活が苦しくなる——この構造は脆弱だ。
「テト帰省」という年一回の再会
都市に出た若者が農村に帰るのは、主にテト(旧正月)の時期だ。ホーチミン・ハノイのバスターミナル・鉄道駅は、テト前になると全国への帰省者で混雑し、バイクで数百km移動する人もいる。
「一年ぶりに家族に会う」という人は珍しくない。
「親の顔を一年見ない」という状況が当たり前になっている農村と都市の間の距離は、物理的だけでなく心理的でもある。
子どもが「置かれる」問題
祖父母に預けられた子ども(留守番児童)の教育・健康への影響は、ベトナムの研究者・NGOが注目している問題だ。
親が近くにいない環境での成長が、情緒的発達・学習成果にどう影響するか——この問いへの答えを、社会全体でまだ模索中だ。
外国人から見たベトナムの農村
観光や仕事でホーチミン・ハノイだけを見ていると、ベトナムの農村の実態は見えにくい。
車で1〜2時間走ると、都市の喧騒とは全く異なる景色が広がる。この落差が、「変化しているベトナム」の両面をより鮮明にする。