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テト(旧正月)の準備と生活——大移動と店が閉まる2週間の現実

ベトナム最大の祝日テトは在住外国人の生活を一変させる。食料備蓄、帰省ラッシュ、サービス停止の現実を具体的に解説。旅行者にも参考になる情報も。

2026-04-29
テト旧正月ベトナム文化在住者祝日

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1月末から2月上旬にかけて、ホーチミン市から500万人以上が故郷へ向かう。バスターミナルは数日前から人であふれ、バイクに家族全員を乗せて数百キロを走る光景も珍しくない。これがテト(Tết Nguyên Đán、旧正月)の大移動だ。在住外国人にとっては「何もできなくなる2週間」の始まりでもある。

テトとは何か

テトはベトナム最大の伝統的祝日で、旧暦の1月1日を中心に前後数日が公式の連休となる。2026年は1月29日(木)が旧暦1月1日にあたり、政府の公式休暇は1月26日〜2月1日の7日間が目安とされる(年によって前後するため政府発表を確認のこと)。

ただし実際には、大企業・政府機関は公式休暇に合わせて休むが、中小企業・個人経営の店舗はそれより長く、10日〜2週間以上休む場合が多い。

在住外国人が直面する「テト問題」

飲食店・小売店が閉まる

旧市街の食堂、ローカルの市場、地元商店の大半がテト前後に閉まる。スーパーマーケット(ビッグC、コープマート等)は営業するが、正月数日前〜正月初日は棚が空になることがある。

在住者が口を揃えるのは「テト前に食料を備蓄する」という点だ。米・缶詰・インスタント食品・水を1〜2週間分確保しておくのが在住者の定番準備になっている。

配送・サービスが止まる

宅配便、修理業者、家事代行サービスが一斉に停止する。テト前に届かなかった荷物は、連休明けまで届かないと考えた方が安全だ。

医療面では、公立病院は救急対応を維持するが外来診察は縮小される。民間クリニックは閉院するところも多いため、常備薬は事前に準備しておく必要がある。

家賃・光熱費の支払いタイミング

テト前後は銀行が連休に入るため、家賃や公共料金の支払いを前倒しにするよう求められることがある。オーナーや管理会社と事前に確認しておくと安心だ。

テト前の物価上昇

テト前の1〜2週間は、一部の食材や日用品の価格が上がる傾向がある。豚肉、鶏肉、果物(特に正月に使われる桃の花やキンカン)は需要増で値上がりしやすい。

外国人在住者からは「テト直前の市場は物価が1.5〜2倍になる」という声も聞かれる。備蓄は2週間前までに済ませると良い。

テトを「体験」として楽しむ

旅行者・在住者問わず、テトはベトナム文化を深く知るチャンスでもある。

街中に飾られる黄色い梅の花(ミエン ブックはタム)と赤い桃の花(北部)、お年玉袋(バオ・リー・スー)の習慣、各家庭で作る「バイン・チュン(もち米ケーキ)」——こうした風景は普段の観光では見られない。

ホーチミン市内では花市場(チョー・ホア)がテト直前に各所で開かれ、雰囲気を味わうだけでも価値がある。テト当日は爆竹と花火で幕が開ける(近年は法律で個人使用は規制されているが、公式の打ち上げ花火は見ることができる)。

旅行者への注意点

テト期間中の旅行は「在住者が警告する観光」でもある。ほとんどの観光地・飲食店は閉まる。一方でハノイのホアン・キエム湖周辺やホーチミン市中心部では花飾りや特別なイルミネーションが設置され、地元住民と一緒に新年の雰囲気を楽しめる。

宿泊費は正月シーズンに高騰する。早めの予約と、「何もない可能性を前提とした旅程」が現実的な選択になる。

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