ベトナムの台風シーズンは9月から11月——中部ダナンの被害が集中する地理的理由
ベトナムには年平均6〜8個の台風が上陸する。被害が中部に集中する理由、避難準備、保険の適用範囲を解説。
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2024年9月、台風ヤギ(Typhoon Yagi)がベトナム北部を直撃し、300人以上が死亡・行方不明となった。ベトナムは台風の常襲国だ。だがホーチミンに住んでいると、台風の存在を忘れることがある。被害はほぼ中部と北部に集中するからだ。
なぜ中部に集中するのか
ベトナムの海岸線はS字型に約3,260km伸びている。台風は南シナ海(ベトナムではBiển Đông、東海と呼ぶ)を西進して上陸するが、中部のクアンナム省〜トゥアティエン=フエ省あたりが地理的に最も台風の進路に当たりやすい。
さらに中部には沿岸から山脈(チュオンソン山脈)までの距離が短い地域があり、雨水が一気に低地に流れ込む。ダナン、フエ、ホイアンは毎年10〜11月に大規模な洪水に見舞われる。
ホーチミンは緯度が低く、台風の勢力が弱まってから到達するか、そもそもルートが外れることが多い。ただし、台風の影響で豪雨が続き、冠水が発生することはある。
台風シーズンのカレンダー
| 月 | リスク | 影響エリア |
|---|---|---|
| 6〜8月 | 低〜中 | 北部(ハノイ周辺) |
| 9〜11月 | 高 | 中部(ダナン・フエ・ホイアン)、北部 |
| 12〜2月 | 低 | 中部沿岸(季節風の影響) |
9月から11月にダナン・ホイアン方面への旅行を計画する場合は、天候リスクを織り込んでおく必要がある。
在越日本人の備え
情報収集: 在ベトナム日本大使館の安全情報メール(たびレジ)に登録する。台風接近時には避難勧告や航空便の運休情報が配信される。
備蓄: 水(1人1日3リットル×3日分)、カップ麺、懐中電灯、モバイルバッテリー、現金(停電するとATMが使えない)。
保険の確認: 海外旅行保険や駐在員保険が台風被害をカバーするか確認する。住居の浸水被害は一般的な医療保険ではカバーされない。賃貸契約の「不可抗力(Force Majeure)」条項も確認しておく。
停電と断水
台風の直撃を受けると、数日間の停電は珍しくない。EVN(ベトナム電力公社)の復旧は都市部で1〜3日、農村部で1週間以上かかることがある。
マンションの高層階は停電時にポンプが止まるため断水する。浴槽に水を溜めておく(ベトナムのアパートには浴槽がないことが多いが、バケツやタンクで代用)のが基本的な備えだ。
台風後のインフラ回復
道路の冠水が引くのに1〜3日。空港の運航再開は通常24〜48時間以内だが、滑走路や施設に被害があれば長引く。台風シーズンに出張や帰国を予定している場合、フライトの変更に対応できる航空券を選んでおくと安心だ。