ベトナムの労働許可証——外国人が働くための条件と取得手続き
ベトナムで外国人が合法的に働くために必要な労働許可証(Work Permit)の取得条件・必要書類・手続きの流れを解説。免除対象者や罰則規定、実務上のハードルまで。
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ベトナムで働く外国人のうち、労働許可証を正式に取得しているのは全体の約7割。残りの3割は免除対象か、あるいはグレーゾーンで働いている——ベトナム労働傷病兵社会省(MOLISA)の統計が示す現実です。
労働許可証が必要な人
ベトナム労働法(2019年改正、2021年1月施行)に基づき、ベトナムで働く外国人は原則として労働許可証(Giấy phép lao động)が必要です。対象は雇用契約を結んで働く人だけではなく、プロジェクトベースの技術者や企業内転勤者も含まれます。
取得の基本条件は3つ。18歳以上であること、業務に必要な健康状態であること、そしてベトナムの法律に基づく犯罪歴がないことです。
4つの就労カテゴリ
外国人労働者は以下の4カテゴリに分類されます。
| カテゴリ | 条件 |
|---|---|
| 管理者(Nhà quản lý) | 部門長以上の管理職 |
| 専門家(Chuyên gia) | 大卒+当該分野3年以上の実務経験 |
| 技術者(Lao động kỹ thuật) | 当該分野1年以上の訓練+3年以上の実務経験 |
| 駐在員(Di chuyển nội bộ) | 海外の親会社・関連会社から12ヶ月以上勤務後の異動 |
日本人の多くは「専門家」か「管理者」で申請します。大学の卒業証明書と職歴証明書がセットで必要になるため、日本にいる間に準備しておくのが現実的です。
必要書類と手続き
雇用主(ベトナム側の企業)が代理申請するのが一般的です。個人では申請できません。主な必要書類はパスポートのコピー、健康診断書、犯罪経歴証明書(アポスティーユ付き)、大学の卒業証明書(アポスティーユ付き)、職歴証明書です。
犯罪経歴証明書は日本の都道府県警察本部で申請し、外務省でアポスティーユを取得します。この手続きだけで2〜3週間かかるので、渡航の2ヶ月前には動き始める必要があります。
処理期間と費用
申請から発行まで通常7〜10営業日。費用は600,000VND(約USD 24、約3,700円)の印紙税に加え、代行業者を使う場合はUSD 300〜500(約46,500〜77,500円)の手数料が上乗せされます。
有効期間は最長2年間。雇用契約の期間を超えることはできません。更新は可能ですが、期限の15日前までに申請する必要があります。
免除される人
以下に該当する場合、労働許可証は不要です。
- ベトナム人の配偶者がいる外国人
- 3ヶ月未満の短期技術指導・トラブルシューティング
- WTO加盟国のサービス提供者で、所定の条件を満たす場合
- 社内異動で30日未満、かつ年間90日未満の滞在
ただし、免除に該当しても労働局への届出は必要です。届出を怠った場合の罰金は15,000,000〜25,000,000VND(約USD 600〜1,000、約93,000〜155,000円)。雇用主側にも同額の罰金が科されます。
実務上のハードル
書類の不備で差し戻されるケースが多く、初回で通る確率は決して高くありません。特に犯罪経歴証明書のアポスティーユや卒業証明書の翻訳(ベトナム語への公証翻訳が必要)で手間取ることがあります。
日系企業の駐在員であれば会社の管理部門が手配しますが、現地採用で個人交渉する場合は、ホーチミンやハノイの日系法律事務所や人材紹介会社を通すのが確実です。費用はかかりますが、書類不備のやり直しを考えると、結果的に時間を節約できます。