ベトナム人がLINEではなくZaloを使う理由——国産スーパーアプリが支配する通信インフラ
ベトナムのメッセンジャーアプリZaloは国内シェア90%超。LINEやWhatsAppが入り込めなかった理由と、Zaloが生活インフラになっている実態を解説。
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ベトナムに着いて最初に言われることの一つが「Zalo入れてる?」だ。LINEでもWhatsAppでもない。Zalo。
ベトナムのメッセンジャーアプリ市場でZaloのシェアは90%を超えている。人口約1億人の国で、月間アクティブユーザーは約7,500万人。日本でいうLINEのポジションだが、浸透度はさらに深い。
なぜZaloが勝ったのか
Zaloはベトナムの大手IT企業VNG Corporationが2012年にリリースした。LINEが東南アジアに進出した時期と重なるが、ベトナムではZaloが先にシェアを取った。
理由は3つ。ベトナム語に完全対応した軽量アプリだったこと、低速な3G回線でも動作したこと、そして電話番号だけで登録できるシンプルさ。当時のベトナムの通信環境では、重いアプリは使われない。
政府との関係も無視できない。ベトナム政府は国産テクノロジー企業を優遇する傾向があり、Zaloは行政サービスのプラットフォームとしても採用されている。
Zaloで何ができるか
メッセージ・通話: テキスト、音声通話、ビデオ通話。グループチャットは最大5,000人。
Zalo Pay: QRコード決済。コンビニ、レストラン、タクシーで使える。電気・水道代の支払いも可能。
Zalo OA(Official Account): 企業や行政機関の公式アカウント。銀行の取引通知、病院の予約確認、行政の通知がZaloで届く。
Zalo Mini App: アプリ内アプリ。フードデリバリー、チケット予約、保険申込等。LINEのLIFFに近い仕組み。
在越日本人とZalo
日系企業のベトナム拠点では、社内コミュニケーションにZaloが使われていることが多い。日本本社がSlackやTeamsを使っていても、現地スタッフとのやり取りはZalo——この二重構造が生まれる。
大家との連絡、修理業者の手配、レストランの予約確認——全てZaloで行われる。Zaloなしでベトナム生活を送るのは、LINEなしで日本で暮らすのと同じくらい不便だ。
プライバシーの懸念
Zaloはベトナムの国内法に準拠しており、政府からの情報提供要請に応じる義務がある。ベトナムのサイバーセキュリティ法(2019年施行)では、国内でサービスを提供する企業にユーザーデータのベトナム国内保存が義務付けられている。
機密性の高いビジネスコミュニケーションにZaloを使うかどうかは、各企業のセキュリティポリシーと相談する必要がある。個人的な日常コミュニケーションにはZalo、業務連絡にはTeams——という使い分けが現実的だ。
ベトナムに着いたら、空港のSIMカードを買った直後にZaloをインストールする。これがベトナム生活の第一歩だ。