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銀行は休みでも店員は休めない——香港の「公眾假期17日」と「法定假日15日」、二つのカレンダーが2030年に重なるまで

香港には一般の祝日(公眾假期)と、雇用条例が保障する法定假日の二種類の休日がある。2026年は前者が17日、後者が15日。2021年の改正で2030年に17日へ揃う段取りと、雇用主・旅行者が知っておくべき違いを整理する。

2026-11-02
祝日労働法雇用条例家事労働者香港

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2026年4月3日、聖金曜日。香港の銀行と役所は閉まっていた。一方で、同じ日に街の飲食店や小売店で働いていた人の多くにとって、この日は法律上の休日ではなかった。

香港には休日のカレンダーが二つある。銀行や役所が休む「公眾假期(General Holidays)」と、雇用条例が全ての労働者に保障する「法定假日(Statutory Holidays)」だ。香港の人は前者を「銀行假」、後者を「勞工假」と呼び分けることがある。

2026年の日数は、前者が日曜日を除いて17日、後者が15日。この2日の差を、香港は10年かけて埋めようとしている。

二つの法律、二つのリスト

公眾假期は、公眾假期條例に基づいて毎年官報で告示される。2026年の一覧は次のとおりだった。

1月1日、旧正月の3日間(2月17〜19日)、聖金曜日(4月3日)とその翌日(4月4日)、清明節の翌日(4月6日)、イースターマンデーの翌日(4月7日)、労働節(5月1日)、仏誕の翌日(5月25日)、端午節(6月19日)、香港特別行政区成立記念日(7月1日)、中秋節の翌日(9月26日)、国慶日(10月1日)、重陽節の翌日(10月19日)、クリスマス(12月25日)、クリスマス後の最初の平日(12月26日)。

一方の法定假日は、労工處の2026年の一覧によると次の15日だ。

1月1日、旧正月の3日間、清明節(4月5日)、イースターマンデー(4月6日)、労働節、仏誕(5月24日)、端午節、香港特別行政区成立記念日、中秋節の翌日、国慶日、重陽節(10月18日)、冬至またはクリスマス(12月22日か25日、雇用主が選ぶ)、クリスマス後の最初の平日。

並べると、違いが見えてくる。聖金曜日とその翌日は、公眾假期にはあるが法定假日にはない。冬至は、法定假日では選択肢として入っているが公眾假期にはない。

2026年はイースターマンデーが加わった年

二つのリストの差は、2021年の雇用(修訂)條例で縮め始められた。法定假日を、当時の12日から段階的に増やし、2030年に17日にして公眾假期の数に揃える。

労工處の案内では、2026年にイースターマンデー、2028年に聖金曜日、2030年に聖金曜日の翌日が法定假日に加わり、2030年に17日になる段取りが示されている。それ以前に、2022年に仏誕、2024年にクリスマス後の最初の平日が加わってきた。

2年に1日ずつ。急に増やせば中小の雇用主の負担が跳ね上がるので、時間をかけて慣らしていく設計だ。25年の移行期間を置いたMPF対沖の廃止と同じく、香港の労働政策は「ゆっくり、しかし後戻りなく」進む型をよく使う。

2026年の4月に起きたこと

2026年は、清明節の4月5日が日曜日に重なった。

公眾假期の側では、日曜日に重なった清明節の振替は翌日になるが、翌日の4月6日はイースターマンデーで、もともと公眾假期だった。そこで、その次の公眾假期でない日、4月7日が追加の公眾假期になった。

法定假日の側にも似た仕組みがある。法定假日が労働者の休息日に重なった場合、その翌日のうち、法定假日・代替休日・休息日のいずれでもない最初の日が休みになる。日曜日を休息日にしている人なら、4月5日の清明節は4月6日(イースターマンデー、それ自体が法定假日)を飛ばして、4月7日に回る。

結果として、2026年4月の香港は、多くの人にとって4月3日から7日まで連休が続く形になった。ただし、そのうち法定假日として全ての労働者に保障されていたのは、清明節とイースターマンデーの分だけだった。

法定假日の権利と、休日手当の条件

法定假日の権利は、働く時間の長さや勤続年数に関係なく、全ての被雇用者にある。家事労働者も含まれる。

一方で、法定假日の日の賃金、つまり休日手当(假日薪酬)を受け取るには、その祝日の直前に「連続性契約」で3か月以上雇われていることが条件になる。雇用主は、手当の対象かどうかにかかわらず、休日を与える代わりにお金を払って済ませることはできない。

雇用主が法定假日に働いてもらう場合は、代わりの休日を手配する必要がある。正当な理由なく法定假日を与えなかったり、休日手当を払わなかったりした雇用主は、有罪となれば5万HKD(約100万5,000円)の罰金を科されうる。

連続性契約の条件そのものも、2026年1月に変わった。この点は次の記事で詳しく扱う。

在住者として気をつけること

日系企業の香港オフィスで働く人の多くは、雇用契約で公眾假期が休みになっているはずだ。この場合、法定假日の違いを意識する場面は少ない。

意識すべきなのは、自分が雇用主になる場面である。家事労働者を雇うなら、法定假日を与えることは雇用条例上の義務だ。契約で公眾假期を休みにすると約束しているなら、それも守る必要がある。冬至とクリスマスのどちらを法定假日にするかは雇用主が選ぶので、あらかじめ決めて伝えておくと揉めにくい。

旅行者や出張者にとっては、公眾假期の日は銀行や役所が閉まる日、という理解で十分だ。聖金曜日や旧正月の時期に香港へ行くなら、両替や手続きは前後の平日に済ませておくといい。旧正月前の香港は街の雰囲気も大きく変わる。

制度の詳細は改定されうるので、実際には労工處の最新の案内を確認してほしい。

こういう見方もできる

公眾假期の「銀行假」という呼び名には、香港の成り立ちがにじんでいる。休日のカレンダーは、まず銀行と役所、つまり金融と行政のために作られた。そこで働かない人々の休みは、別の法律で、別の日数で、後から整えられてきた。

二つのカレンダーの差は、ホワイトカラーとそれ以外の人々の間の差でもあった。2030年に日数が揃えば、少なくとも数の上ではその差が消える。

聖金曜日の香港で、閉まった銀行の前を、出勤する店員が通り過ぎる。その光景が2028年以降は少しずつ変わっていく。休日の数え方は地味な制度だが、誰の時間を誰の都合で区切るかという、都市の価値観を映していると思う。

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