マレーシア移住・赴任前の手続き一覧——MM2H・就労ビザ・銀行口座、着任後のロードマップ
マレーシア移住・赴任が決まったら最初に動くべき手続きを時系列で整理。日本側の転出届・年金・住民税から、Employment Pass・MM2H・DE Rantauのビザ分岐、銀行口座開設まで網羅。
この記事の日本円換算は、1MYR≒33円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(MYR)の金額を基準にしてください。
移住の準備で意外と見落とされがちなのが「日本側の手続き」だ。現地のビザ申請や住居探しに目が向きがちだが、転出届の出し方ひとつで住民税が1年分変わる。
この記事では、マレーシアへの移住・赴任が決まった時点から、現地での生活セットアップが完了するまでの手続きを時系列で整理した。
まず考える:どのビザで入るか
マレーシアで長期滞在する日本人のビザは、大きく3種類に分かれる。
就労ビザ(Employment Pass)
会社に雇用されて働く場合のビザ。カテゴリは月給によって3つに分かれる。
| カテゴリ | 月給の条件(目安) | 有効期間 |
|---|---|---|
| Category 1 | RM 5,000以上 | 最大5年 |
| Category 2 | RM 3,000〜5,000 | 最大2年 |
| Category 3 | RM 3,000未満(特定職種のみ) | 最大1年 |
申請は雇用主が行うため、入社前から会社の人事部と連携して進める。外国人雇用計画(Expatriate quota)の枠が必要で、小規模企業は取得までに時間がかかることもある。
MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)
退職後の移住や、リモートワークによる長期滞在向けの長期ビザ。2021年以降に制度が刷新され、グレードが3段階になった。
| グレード | 液体資産要件(目安) | 定期預金要件 | 有効期間 |
|---|---|---|---|
| Silver | USD 500,000以上 | USD 150,000 | 5年(更新可) |
| Gold | USD 1,000,000以上 | USD 500,000 | 15年(更新可) |
| Platinum | USD 2,000,000以上 | USD 1,000,000 | 20年(更新可) |
申請はMM2H公式ポータルを通じて行う。書類審査に3〜6ヶ月かかることが多い。
DE Rantau(デジタルノマドビザ)
フリーランサーやリモートワーカー向けの比較的新しいビザ(2022年開始)。月収USD 24,000以上(年収ベース)が条件。最初は3〜12ヶ月、更新で最大24ヶ月まで滞在可能。
日本側の手続き
海外転出届
渡航14日前から当日までに、住民登録をしている市区町村の窓口で提出する。1年以上の滞在が確定しているなら原則提出が必要。
転出届を出すことで、以下が連動して変わる。
| 項目 | 転出届後の変化 |
|---|---|
| 国民健康保険 | 資格喪失(保険料の支払い停止) |
| 国民年金 | 強制加入から任意加入へ切り替え |
| 住民税 | 翌年1月1日時点で除票済みなら翌年度は非課税 |
| マイナンバーカード | 国外継続利用の申請が必要 |
住民税の「1月1日ルール」: 住民税はその年の1月1日時点での住所地に課税される。12月31日に転出すれば翌年度分は発生しないが、1月2日の転出では翌年度も課税される。数十万円規模で差が出るため、渡航タイミングを調整できるなら意識しておく価値がある。
国民年金
転出届と同時に、市区町村窓口で任意加入・脱退どちらの手続きも受け付けている。将来の年金受給額を維持したい場合は任意加入を選ぶ。
なお、日本とマレーシアは社会保障協定を締結していないため、現地でのEPF(従業員積立基金)拠出分は日本の年金に通算されない。
マイナンバーカード
2024年5月27日から、海外転出後もマイナンバーカードを継続利用できるようになった。転出届と同時に「個人番号カード国外継続利用申請書」を提出すること。
在留届
マレーシアに3ヶ月以上滞在する場合、在クアラルンプール日本国大使館への在留届が義務付けられている。外務省のORRネット(https://www.ezairyu.mofa.go.jp)からオンラインで提出でき、渡航90日前から受け付けている。
マレーシア到着後の手続き
銀行口座開設
就労ビザであれば、Employment Pass・パスポート・雇用証明書・マレーシアの住所証明があれば開設できる。Maybank・CIMB・HSBC Malaysiaが日本人に多く使われている選択肢。
マレーシアの銀行口座開設ガイドで各行の比較と手続きの詳細を解説している。
民間医療保険への加入
マレーシアには外国人が加入できる公的健康保険がない。民間医療保険への加入が実質必須。MM2Hビザの場合は、2021年以降の申請ではビザの条件として民間保険への加入が必須になっている。
費用の目安はプラン・年齢によって異なるが、年間RM 2,000〜6,000(約66,000〜198,000円)程度から選べる保険がある。
マレーシアの医療・保険ガイドに病院情報と保険の詳細をまとめた。
SIMカード
到着当日に空港でプリペイドSIMを購入するのが定番。Maxis(Hotlink)・Celcom(Xpax)・DiGiの3キャリアが主要。銀行口座の開設やアプリの認証にマレーシアの電話番号が必要になる場面が多いため、到着直後に入手しておく。
住居
クアラルンプールの日本人が多く住むエリアはモントキアラ・KLCC・バンサー。プール・ジム付きのコンドミニアムが月RM 2,500〜5,000(約82,500〜165,000円)程度から借りられる。
マレーシアの住居・家賃ガイドにエリア別の相場と探し方をまとめてある。
時系列チェックリスト
出国2〜3ヶ月前
- ビザ申請(就労ビザは雇用主と連携 / MM2Hは申請ポータルから / DE Rantauは申請フォームから)
- 住民税の未納確認と納税管理人の届出(未納がある場合)
- 日本の銀行・クレジットカードの非居住者対応を確認
- 海外旅行保険(長期プラン)または民間医療保険の検討・加入
- 在留届のオンライン提出(ORRネット)
- 運転免許の期限前更新 + 国際運転免許証の取得(マレーシアで運転する場合)
出国14日前〜当日
- 海外転出届の提出(市区町村窓口)
- マイナンバーカードの国外継続利用申請(転出届と同時に)
- 国民年金の任意加入or脱退手続き
- 国民健康保険証の返却
マレーシア到着後(1ヶ月以内)
- 在留届の提出(出国前に未提出の場合)
- SIMカードの購入(空港で当日可)
- 銀行口座の開設(MaybankまたはCIMBを推奨)
- 住居の契約(会社が用意する場合は確認)
- 民間医療保険への加入
生活セットアップ(1〜3ヶ月)
- 日本の運転免許からマレーシアの運転免許への切り替え(JPJで手続き)
- ビザの詳細確認・更新スケジュール確認
- タックスナンバー(TIN)の取得(就労者の場合、IRBで申請)
- マレーシアの税制の把握(所得税・申告義務の確認)
手続きの詳細や条件は制度変更によって変わることがあります。各窓口・公式サイトで最新情報を確認してください。
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