海外在住者の健康保険——海外旅行保険・国際医療保険・現地保険、何が違うのか整理する
海外在住者向けの保険を3種類に整理。海外旅行保険・国際医療保険・現地民間保険の違い、コスト、キャッシュレス対応、駐在員vs現地採用の違いを解説します。
バンコクの病院で盲腸の手術を受けたら請求額が80万円だった、という話を聞いたことがある人もいるだろう。海外の私立病院は日本の感覚では考えられない金額になることがある。保険選びを先送りにしているなら、今日中に選択肢を確認しておいた方がいい。
3種類の保険の違い
「海外の保険」をひとくくりにしがちだが、実際には目的も対象も全然違う3種類が存在する。
1. 海外旅行保険(長期プラン)
旅行保険を長期(最長1年)に延長したもの。日本を出発した日からカウントされる。
費用の目安: 月8,000〜30,000円(年齢・補償内容による)
扱っている保険会社: AIG、東京海上日動、損保ジャパン等
特徴:
- 補償開始がスムーズ(日本出発前に加入)
- 最長1年という期限がある
- 補償額は国際医療保険より低いことが多い(補償上限500万〜1,000万円程度)
- 既往症は対象外
1年以上の長期滞在には対応できないため、現地採用や移住者には不向き。短期赴任・1年未満の留学者向けと考えるといい。
2. 国際医療保険(インターナショナルヘルス保険)
海外在住者向けに設計された長期保険。期限なし(毎年更新)で継続できる。
費用の目安: 月15,000〜80,000円(年齢・補償プランによる)
主なプロバイダー: Cigna Global、Allianz Care、Aetna International、BUPA等
特徴:
- 補償上限が高い(1億円超のプランもある)
- 世界中の病院をカバー(グローバルプランの場合)
- キャッシュレス対応病院が多い
- 歯科・出産をオプションで追加できるプランあり
- 既往症は審査あり(加入時の健康状態による)
長期滞在者・移住者・現地採用の方はこちらが本命。ただし費用は高い。
3. 現地の民間健康保険
在住国の保険会社が提供する現地向けの保険。
費用の目安: 国による。タイならTHB3,000〜15,000/月程度
特徴:
- 現地向けなので現地病院のカバーが充実
- 日本帰国中の補償はなし(または別途オプション)
- タイ語・マレー語等での手続きになる場合がある
- 比較的安い国が多い
「現地に完全に根を張る」方向けで、日本への一時帰国中の補償がないのがネック。
キャッシュレス対応の有無で現実が変わる
保険を選ぶとき、補償額と並んで確認すべきなのがキャッシュレス対応病院のリスト。
キャッシュレス対応がない場合、病院で一旦全額を自己負担で支払い、後から保険会社に請求する「立替払い」が必要になる。私立病院の請求書が50万〜100万円になった場合、その金額を一時的に用意できるかどうか。実際に問題になるケースがある。
海外の大手保険会社(Cigna、Allianz等)はバンコク・シンガポール・ドバイ等の主要都市で多くの提携病院を持っている。加入前にリストを確認することをおすすめする。
既往症の扱い
どの種類の保険でも、加入前からある病気・症状(既往症)は一般的に補償対象外になる。
国際医療保険では加入時に健康申告書を書き、審査が行われる。既往症があっても加入自体は可能なことが多いが、その症状に関連する治療費は除外条項になる可能性がある。
健康なうちに加入しておくのがベスト。「病気になってから保険に入ろう」とはいかない。
駐在員 vs 現地採用のニーズの違い
駐在員: 会社が保険を提供するケースが多い。ただし家族の補償や歯科・出産が別途必要になることがある。
現地採用: 自己負担で調達する必要がある。会社が一部補助してくれる場合もあるが、金額次第では不十分なことも。
移住者・フリーランス: 国際医療保険か現地民間保険を自分で組み合わせる。
費用の現実と優先順位
正直、保険にかかるコストは安くない。月3〜5万円は覚悟する必要がある(年齢・プランによる)。それでも、補償なしで現地の私立病院に入院したときの費用と比べれば「入っておいた方がいい」という結論になることがほとんど。
入院1回のリスクで家計が壊れるよりは、保険料を固定費として見込む方が安心感がある。
各保険会社の最新プランと料金はCigna Global(cigna.com.sg)、Allianz Care(allianzcare.com)等の公式サイトで確認できる。日本語対応の代理店を通じた加入も選択肢のひとつ。
関連記事