海外在住者の証券口座——SBI証券・楽天証券は非居住者でも使えるか、正直に答える
海外在住者の証券口座事情を整理。日本の証券会社の非居住者対応、Interactive BrokersやCharles Schwabの活用、NISA・iDeCoの出国時の手続きを解説します。
日本を出る前に証券口座のことを考えていた人はどれくらいいるだろう。たいていは出発後に「あ、使えなくなった」と気づく。できることとできないことを整理しておく。
日本の証券会社は非居住者でも使えるか
結論: 出国前から口座を持っていれば継続利用できるケースが多いが、条件付き。
SBI証券
海外転出後も口座維持は可能。ただし新規の有価証券の購入(注文)はできなくなる。保有している株・投資信託の売却は可能。
SBI証券は海外転出を申告する義務があり、申告後は「制限口座」のような扱いになる。保有資産を管理する用途には使えるが、新規購入はできない。
楽天証券
SBI証券と同様の対応。出国前の口座保有者は維持できるが、取引に制限がかかる。
なぜ非居住者は新規購入できないのか
金融商品取引法(金商法)の規制によるもの。日本の証券会社は日本の居住者にしか金融商品を勧誘・販売してはいけないルールがある。非居住者への販売は「海外での無認可業者」に該当するリスクが生じるため、各社が自衛として制限している。
出国後に新たに証券口座を開設することも基本的にはできない。
海外在住者が使える選択肢
Interactive Brokers(IB)
海外在住の日本人が最もよく利用している証券会社のひとつ。
特徴:
- 世界200以上の市場にアクセス可能
- 米国株・ETF・債券・先物等を取引可能
- 最低入金額は日本居住者は0ドルから(以前は$10,000最低入金があったが撤廃)
- 手数料: 米国株は1株0.005ドル(最低1ドル)または取引額の0.5%のうち低い方(IBKRライトプランの場合)
- 日本語サポートあり
注意点: IBでの取引は日本の確定申告で申告が必要(海外口座の利益は申告分離課税対象)。証券会社は源泉徴収してくれない。
Interactive Brokersの詳細はinteractivebrokers.com.hkの公式サイトで確認できる。
Charles Schwab International
米国在住者向けに作られているが、一部の国の居住者も利用可能。米国株・ETFへの長期投資向け。日本語サポートは基本的にない。
現地証券口座
在住国の証券市場へのアクセスが目的なら現地口座が現実的。
- シンガポール: DBS Vickers、UOB Kay Hian、Moomoo(富途牛牛)等
- タイ: Kasikorn Securities(KSecurities)、SCB Securities等
- オーストラリア: CommSec(Commonwealth Bank系)、SelfWealth等
現地口座の場合、現地の税制(キャピタルゲイン税の有無等)の理解が必要。
NISAと出国の関係
2024年からの新しいNISAは、出国時の扱いが以前と変わった。
出国時の選択:
- 継続管理勘定への移管: 出国時に手続きをすることで、出国後5年間は非課税扱いを継続できる
- 売却: 出国前に保有資産を売却してNISA口座を解除する
継続管理勘定を使う場合、保有資産は持ち続けられるが新規購入はできない。帰国後にNISAを再開するには、帰国届を提出してから通常のNISA口座として使えるようになる。
手続きは口座を持っている証券会社で行う。出国前に証券会社に確認し、手続きを完了させておくこと。うっかり出国して何もしていないと、出国翌年から課税口座扱いになるリスクがある(証券会社が職権で移管する場合がある)。
iDeCoと出国の関係
iDeCoは非居住者でも加入継続が可能。ただし出国後は拠出(積み立て)ができなくなり、「運用のみ継続」という状態になる。
帰国後は再び拠出を再開できる。受け取り開始年齢(60歳〜)になれば通常通り受け取れる。海外転出時に「海外居住に関する届出書」を運営管理機関(証券会社等)に提出する必要がある。
出国前にやること
- SBI・楽天等の日本の証券会社に海外転出の旨を申告(時期と居住先を報告)
- NISAを継続管理勘定に移管するか売却するか決める
- iDeCoの運営管理機関に届出書を提出
- Interactive Brokers等の代替口座を事前に準備しておく
出国後に慌てて対応するより、出発1〜2ヶ月前に整理しておくと楽。
関連記事