Kaigaijin
税金・確定申告

タイの税金ガイド——2024年改正で変わった海外所得課税と日タイ租税条約の使い方

タイの個人所得税率と確定申告の流れを解説。2024年改正で海外所得も課税対象に。日タイ租税条約の内容、日本の非居住者認定との関係、TIN取得まで。

2026-04-05
所得税二重課税租税条約海外所得TINe-Filing非居住者

この記事の日本円換算は、1THB≒5円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(THB)の金額を基準にしてください。

2024年1月から、タイの税務が大きく変わった。

それまで「タイ居住者が海外から稼いだ所得は課税対象外」という運用が続いていたが、改正後は海外所得もタイに持ち込んだ年に申告義務が生じるようになった。デジタルノマドやリタイア移住者、海外に資産を持つ在タイ日本人にとって見過ごせない変更だ。

タイの個人所得税率(居住者)

タイの個人所得税は累進課税。居住者(年間180日以上タイに滞在)には以下の税率が適用される。

課税所得(THB)税率
0〜150,0000%
150,001〜300,0005%
300,001〜500,00010%
500,001〜750,00015%
750,001〜1,000,00020%
1,000,001〜2,000,00025%
2,000,001〜5,000,00030%
5,000,001以上35%

月給THB 60,000(年収THB 720,000)の場合、各種控除(個人控除THB 60,000、給与所得控除等)を適用すると、実効税率は概算で5〜10%程度。

2024年改正——海外所得の課税が変わった

改正前(〜2023年末)

タイ居住者が海外で得た所得を翌年以降にタイに持ち込む場合、課税対象外という運用が認められていた。つまり、当年中にタイに送金しなければ課税を回避できた。

改正後(2024年1月〜)

2024年以降は、海外所得をいつタイに持ち込んでも課税対象になる(課税年度の翌年以降に持ち込んでも同様)。

影響を受けやすいのは以下のような状況:

  • 日本の年金・不動産収入をタイの銀行口座に送金している場合
  • 海外に証券口座を持ち、配当・譲渡益をタイで使っている場合
  • デジタルノマドとして海外企業からの報酬をタイで受け取っている場合

ただし現時点では課税当局がどの程度厳格に執行するかは不明瞭な部分もある。特に少額の個人送金まで課税されるかどうかは、今後の運用次第。税務上の影響が大きい場合は、タイの税務専門家への相談が現実的だ。

日タイ租税条約——二重課税の処理

日本とタイの間には**租税条約(二重課税防止条約)**が締結されている。

主な内容:

  • 給与所得: タイで働いて得た給与は原則タイ側で課税。日本に引き上げて課税される場合は外国税額控除で調整
  • 不動産収入: 不動産所在地国(日本)で課税
  • 配当・利子: 源泉地国(支払国)での税率に上限を設定(例: 配当は10%以下)
  • 年金: 居住地国(タイ)での課税が原則

日タイ租税条約があるため、シンガポールと違って二重課税の処理の枠組みが明確にある。ただし条約の適用は申告・証明手続きが必要で、自動的に適用されるわけではない。

日本側の課税関係——非居住者認定のポイント

日本に海外転出届を出してタイへ移住した場合、日本での課税は国内源泉所得のみ

課税される日本国内源泉所得の例:

  • 日本の不動産からの賃料収入
  • 日本法人から受け取る役員報酬
  • 日本の銀行預金の利息(源泉徴収済みが多い)

一方、タイの会社から受け取る給与は日本では課税されない(非居住者のため)。

住民税の1月1日ルール

日本の住民税は1月1日時点での住民票の有無で決まる。年の途中でタイに移住する場合、12月中に転出届を完了させると翌年度の住民税が課税されない。詳しくはタイ移住前チェックリスト(準備中)を参照。

TIN(タイの納税者識別番号)の取得

タイで所得が発生する場合、**TIN(Taxpayer Identification Number)**の取得が必要。

取得場所

タイ国税局(Revenue Department)の地方税務署。バンコクであればエリアごとに管轄の税務署がある。

必要書類

  • パスポート(原本)
  • 在留資格書類(Non-Bビザ・Work Permit等)
  • 現住所の証明書類(コンドの賃貸契約書等)

手続き所要時間

窓口で申請して即日発行のケースが多い。英語が通じる担当者を指名するか、代理人(税理士・エージェント)に依頼する方がスムーズなことも。

タイの確定申告(e-Filing)——毎年1〜3月が申告期間

タイの確定申告は毎年1月1日〜3月31日(e-Filingの場合は4月8日まで)。

申告が必要な人

  • タイ居住者で年間所得がTHB 120,000を超える場合(配偶者なし)
  • THB 220,000を超える場合(配偶者あり)
  • 雇用所得以外の所得(不動産・投資・フリーランス等)がある場合

e-Filingのフロー

  1. タイ国税局のウェブサイト(rd.go.th)でアカウント作成
  2. TINでログイン
  3. 申告書(PND 91: 給与所得者向け / PND 90: それ以外)を入力
  4. 控除・所得情報を入力して提出
  5. 納税額がある場合はオンラインバンキングで支払い

タイ語のインターフェースが基本だが、英語表示にも切り替え可能。初回は税理士・会計士に依頼して流れを把握してから、次年度以降は自分で行う人も多い。

まとめ——2024年改正後の実務的対応

タイの税務は「安い・シンプル」というイメージから少し複雑になっている。特に海外所得の取り扱いは2024年改正によって変わり、海外に資産・収入源がある場合は個別の対応が必要。

実務的なチェックポイント:

  1. TINを取得する(就労開始後早めに)
  2. 海外口座からタイへの送金記録を保管する(課税対象の追跡に備えて)
  3. 日タイ租税条約の恩恵を受けるために確定申告をする(二重課税回避のため)
  4. 不明点はタイの日系税理士・会計事務所に相談する

銀行口座の開設や到着後の手続きはタイの銀行口座開設ガイドを参照。


KAIスポット — みんなで作る現地情報

Kaigaijinでは、現地に住む日本人が実際に使っているスポット(レストラン・クリニック・美容室・不動産など)を国別に集めています。

「このクリニック、今も営業してる」「ここ、日本語対応なくなってた」——そういった一言が、次に来る人の役に立ちます。気づいたことがあれば、ぜひ情報を追加してください。

タイのKAIスポットを見る・情報を追加する

コメント

読み込み中...