シンガポールのビザ・在留資格ガイド——EPからPRまで、申請の流れと実態
シンガポールで働く・住むために必要なビザの種類と要件を解説。EP・S Pass・DP・LTVPの違い、MOM申請フロー、永住権(PR)への道筋まで。
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シンガポールで働くには、ビザの種類を正しく選ぶことがすべての出発点になる。
Employment Pass(EP)なのかS Passなのか、それとも家族帯同のDP(Dependent Pass)か——。種類を間違えたり要件を満たしていなかったりすると、会社側が申請できないし、本人も渡航の計画が立てられない。シンガポール人材省(MOM)のシステムはオンラインで完結するが、要件は細かく、年齢・学歴・給与の組み合わせで判定が変わる。
ビザの種類——まず自分がどれに当たるかを確認する
シンガポールで外国人が取得できる主な在留資格は以下のとおり。
| ビザ | 対象 | 主な要件 |
|---|---|---|
| Employment Pass(EP) | 専門職・管理職・経営者 | 月給SGD 5,600以上(2025年現在)、大卒以上 |
| S Pass | 中間技術職 | 月給SGD 3,300以上、関連資格・経験あり |
| Work Permit | 建設・製造・サービス業の一般労働者 | 国籍・職種に制限あり |
| Dependant Pass(DP) | EP・S Pass保持者の配偶者・子 | スポンサーのビザ保持が前提 |
| LTVP(長期滞在ビザ) | EP保持者の親等、DPの条件を満たさない家族 | 個別審査 |
| Personalised Employment Pass(PEP) | 既存EP保持者・海外在住の高収入専門職 | 月給SGD 22,500以上または前年固定給SGD 270,000以上 |
日本人がシンガポールで就労するケースは、ほとんどがEPかS Pass。どちらに当たるかは月給と職種・学歴で決まる。
EP(Employment Pass)——日本人の多くが該当するビザ
月給基準(2025年現在)
EPの最低月給基準はSGD 5,600(2025年9月以降の新規申請から適用)。ただし、これは一律ではなく、年齢が上がるほど要求水準が上がる。
MOMが導入している「COMPASS」(Complementarity Assessment Framework)という点数制の評価システムがあり、月給・学歴・会社のシンガポール人比率・採用戦略などを総合評価する。単純に「月給XXX以上なら通る」という話ではなくなっている。
目安として:
- 25歳前後: SGD 5,600〜
- 30歳前後: SGD 6,000〜7,000前後
- 35歳以上: さらに高い基準が設定される傾向
申請フロー
- 雇用主がMOMオンラインシステム(EP Online)から申請する。本人は申請できない
- 申請に必要な書類: パスポートコピー、最終学歴の卒業証明書・成績証明書(英語翻訳済み)、職務経歴書
- 審査期間: 通常3〜8週間。ケースによっては追加書類の提出を求められる
- 承認後、「In-Principle Approval(IPA)」レターが発行される
- シンガポール入国後にMOMのサービスセンターでEPカードを受け取る(要予約)
EPが拒否されたときの対応
申請が却下された場合、MOMのオンラインシステムから**再申請(Re-apply)**が可能。ただし、同じ内容で再申請しても結果は変わらない。
拒否の主な理由:
- COMPASS基準のスコア不足
- 学歴証明書が認証されていない
- 申請時の職種と実際の業務内容の不一致
- 過去のシンガポールでの違反歴
再申請する場合は、給与を見直すか、追加の書類(業界資格・実績証明など)を揃えてから臨む。
S Pass——技術職向けの在留資格
月給SGD 3,300以上が基準。EPより要件は緩いが、雇用主側に「S Passクォータ」(会社の従業員数に対する外国人比率の上限)があるため、採用枠が限られるケースがある。
製造業・飲食業・小売業などに就く場合はS Passが多い。申請フローはEPと同様、雇用主がオンラインから申請する。
DP(Dependant Pass)——家族帯同の基本ビザ
EPまたはS Passを持つ本人(スポンサー)の配偶者・21歳未満の子が対象。
DP保持者は原則として就労不可だが、**DP保持者向けのLOC(Letter of Consent)**を取得すれば、個別の雇用主のもとで就労できる。自営業・フリーランスの場合はEP取得が必要。
LOCはスポンサーのEPが有効である限り有効で、MOMへの申請はオンラインで完結する。
LTVP(Long-Term Visit Pass)
DPの条件を満たさない家族(未婚パートナー、同性パートナー、高齢の親など)が申請できる在留資格。個別審査で、承認率は高くない。
LTVP+という種別もあり、こちらはLOCなしで就労が認められるケースがある。
永住権(PR)——何年くらいかかるか
PR取得は、EP保持者であれば申請資格はある。ただし**「申請できる」と「承認される」は別の話**。
目安として、EPで2〜3年以上勤務していること、安定した収入・雇用履歴、納税実績、シンガポールへの貢献(社会参加、家族関係)などが評価される。明確な基準はMOMから公表されていないが、統計的には申請者の30〜40%程度が承認されるといわれている。
申請はePR(オンラインシステム)から本人が行う。家族(配偶者・子)と同時申請が可能。処理期間は6〜12ヶ月以上かかることもある。
PR取得後は2〜5年ごとにRe-Entry Permit(REP)を更新することで永住権を維持できる。REPの更新にはシンガポールへの経済的貢献が引き続き評価される。
よくある質問
シンガポール現地法人への転職時にビザはどうなる? 新しい雇用主が改めてEPを申請する必要がある。既存のEPはキャンセルし、新しいIPAを取得してから転職先に入社するのが正式なフロー。転職タイミングと手続きの段取りは、できれば転職先のHRと事前に確認しておく。
起業(自分が代表の会社でのEP)は取れるか? 取れるケースはある。ただし、自分が代表取締役として申請する場合、会社のビジネスプランの実現可能性や、シンガポール経済への貢献度が審査される。スタートアップの場合、StartupSGなどのサポートプログラムを利用することでEP取得の通過率が上がることもある。
ビザの手続きは、渡航前の早い段階から着手するほど余裕が生まれる。シンガポール移住前チェックリストで全体の手続きを把握しておくと、EP取得後の銀行口座開設など次のステップに進みやすい。
シンガポールの銀行口座開設ガイドも合わせて読むと、EP取得後に最初にやることがイメージしやすくなる。
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