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タイで銀行口座を開設する——Bangkok Bank・KBank・SCBの条件と手続きの全体像

タイで銀行口座を開設するために必要なビザ・書類、主要銀行の特徴、手数料・最低預入額、PromptPay、海外送金の方法までを解説。Work Permit・リタイアメントビザ・ノンイミグラントビザ保持者向け。

2026-03-27
銀行口座Bangkok BankKasikornSCB送金

この記事の日本円換算は、1THB≒4.9円で計算しています(2026年3月時点)。為替は変動するので、現地通貨(THB)の金額を基準にしてください。

タイに住み始めて、すぐに必要になるのが現地の銀行口座。給与の受け取り、家賃の振込、日常の買い物——どれも銀行口座がないと始まらない。

ただし、タイの銀行口座開設は日本ほど簡単ではない。2024年以降、マネーロンダリング対策(AML)と本人確認(KYC)の強化で、外国人に対する審査が厳しくなっている。観光ビザでの口座開設はほぼ不可能になり、長期滞在ビザが事実上の必須条件になった。

この記事では、タイの主要銀行4行の比較、ビザ別の必要書類、PromptPayの使い方、日本との海外送金まで、口座開設にまつわる実務情報をまとめた。

主要銀行4行の特徴

タイにはメガバンクが4行ある。外国人が口座を開くのは、基本的にこの4行のいずれか。

Bangkok Bank(バンコク銀行)

タイ最大の商業銀行。外国人対応の歴史が最も長く、英語が通じる支店が多い。東京・大阪にも支店がある数少ないタイの銀行で、赴任前に情報収集できるのは大きなメリット。

リタイアメント層や教師など、長期ビザ保持者に安定した実績がある。モバイルアプリ「Bangkok Bank Mobile Banking」は英語対応済み。

ただし、2024年以降は審査が厳格化しており、書類が不十分だと窓口で断られるケースも報告されている。書類は多めに準備しておくのが安全。

Kasikorn Bank(カシコン銀行 / KBank)

緑色のロゴでおなじみ。モバイルアプリ「K PLUS」の評価が高く、英語インターフェースも使いやすい。PromptPayとの連携もスムーズで、QRコード決済を日常的に使うならKBankは有力な選択肢。

リモートワーカーや若い世代の外国人に人気がある。ただし、観光ビザやビザ免除での口座開設は不可。ノンイミグラントビザが必要になる。

SCB(サイアム商業銀行)

タイで最も歴史のある銀行の一つ。モバイルアプリ「SCB Easy」は英語対応しており、UIの完成度が高い。支店とATMのネットワークも広い。

ビジネスオーナーや専門職の外国人に利用者が多い。ただし支店によって対応が異なり、ある支店では通った書類が別の支店では通らないこともある。事前に外国人対応の実績がある支店を調べておくといい。

Krungthai Bank(クルンタイ銀行 / KTB)

政府系銀行で、公的機関との取引が多い。BOI(投資委員会)案件や政府関連の仕事をしている場合は、Krungthaiを指定されることがある。

教育ビザ(ED)保持者に比較的柔軟に対応する傾向があるという報告もあるが、支店によってばらつきがある。モバイルアプリ「Krungthai NEXT」は英語に対応している。

日系銀行について

三菱UFJ銀行はタイのアユタヤ銀行(Bank of Ayudhya / Krungsri)を子会社として保有しており、日本語サポートが充実している。日系企業の駐在員にとっては選択肢の一つ。アプリからの海外送金にも対応しており、日本への送金の使い勝手がいい。

ただし、個人口座の開設には長期ビザと住所証明が必要な点は他行と同じ。

口座開設の条件——ビザ別に整理する

2025年以降、タイの主要銀行は観光ビザ・ビザ免除での口座開設をほぼ受け付けていない。口座を開設するには、以下のいずれかの長期ビザが必要。

Non-Immigrant B(就労ビザ)保持者

最もスムーズに口座開設できるパターン。Work Permitとセットで提示すれば、どの銀行でもほぼ問題なく受け付けてもらえる。

必要書類:

  • パスポート原本(有効期限6ヶ月以上)
  • Non-Immigrant Bビザ(パスポートに押印)
  • Work Permit原本
  • タイの住所を証明する書類(在留届証明書、賃貸契約書等)
  • タイの携帯電話番号

勤務先からのレター(雇用証明書)を求められることもある。念のため用意しておくのが無難。

Non-Immigrant O(退職・配偶者ビザ)保持者

リタイアメントビザ(O-A / O-X)や配偶者ビザ(O)での口座開設も可能。Bangkok Bankがこの層への対応実績が豊富。

必要書類:

  • パスポート原本(有効期限6ヶ月以上)
  • Non-Immigrant Oビザ
  • 在留届証明書(Certificate of Residence)——イミグレーションで取得可能
  • タイの携帯電話番号

リタイアメントビザの場合、銀行口座が年次のビザ更新要件(口座残高THB 800,000以上の維持等)にも関わるため、早めの開設を検討したい。

Non-Immigrant ED(教育ビザ)保持者

語学学校やタイ語学習で取得するEDビザ。口座開設は可能だが、銀行によって対応が分かれる。KBankやKrungthaiが比較的対応しやすいという報告がある。

必要書類:

  • パスポート原本
  • Non-Immigrant EDビザ
  • 学校からの在学証明書
  • タイの住所証明
  • タイの携帯電話番号

LTR(長期居住)ビザ保持者

2022年に新設されたLTRビザは、富裕層・高度専門職・リモートワーカー向け。BOI(投資委員会)が管轄しており、銀行口座開設もBOIのサポートを受けられるケースがある。

観光ビザ / ビザ免除 / DTV(デジタルノマドビザ)

2025年時点で、主要銀行は観光ビザ・ビザ免除での口座開設をほぼ受け付けていない。DTVについても、銀行によって対応がまちまちで、確実に開設できる保証はない。

以前は「支店ガチャ」で観光ビザでも開設できたという話があったが、現在は組織的に門前払いになっている。長期滞在を予定しているなら、先にビザを取得してから口座開設に動くのが現実的。

住所証明のベストな取り方

口座開設で最もつまずきやすいのが「タイの住所証明」。銀行が最も確実に受け付けるのは以下の順。

1. イミグレーション発行の在留届証明書(Certificate of Residence)

最も確実。バンコクのイミグレーションオフィス(チェーンワッタナー)で取得できる。

必要なもの:

  • パスポート原本
  • パスポートのIDページ・ビザページのコピー
  • TM30受領証(宿泊届の控え)
  • 証明写真
  • 申請書
  • 手数料: THB 500(約2,450円)

即日〜数営業日で発行される。

2. 大使館・領事館発行の在留証明書

日本大使館・領事館でも在留証明書を取得できる。費用はTHB 1,000〜3,000相当(約4,900〜14,700円)で、国やタイミングによって異なる。イミグレーション版より高いが、銀行での受理率は高い。

3. 賃貸契約書・公共料金の請求書

受け付ける銀行もあるが、支店によって判断が分かれる。これだけに頼るのはリスクがある。在留届証明書を本命、契約書を補助書類として持っていくのがいい。住居探しについてはバンコクの住居選びガイドも参考にしてほしい。

口座の種類

普通預金口座(Savings Account)

外国人が最初に開設するのは、ほぼ普通預金口座。金利はTHB建てで年0.25〜0.50%程度(2025年時点)。日本よりは高いが、インフレ率を考えると実質的にはほぼゼロに近い。

通帳(Passbook)ありとなしが選べる。通帳なしの場合はモバイルバンキングでの管理になる。

定期預金口座(Fixed Deposit)

まとまった資金があれば定期預金も選択肢に入る。期間は3ヶ月〜36ヶ月が一般的。金利は普通預金より高いが、預入期間中の引き出しにはペナルティがある。

外貨預金口座(FCD Account)

Bangkok Bankなどは外貨建ての預金口座(Foreign Currency Deposit)も提供している。日本円やUSD建てで預金を維持できるため、為替リスクをヘッジしたい場合に使える。ただし、開設条件は普通預金より厳しい場合がある。

手数料・最低預入額

口座開設時の費用

項目金額
初回預入額THB 500〜2,000(約2,450〜9,800円)
ATM/デビットカード発行THB 100〜300(約490〜1,470円)
傷害保険(カード付帯)THB 200〜400/年(約980〜1,960円)

銀行や口座の種類によって異なるが、初回はTHB 1,000〜3,000程度あれば足りる。

口座維持手数料

多くの普通預金口座には口座維持手数料はかからない。ただし、残高がTHB 0の状態が長期間続くと口座が凍結される場合がある。

一部の口座では最低残高(THB 2,000〜20,000程度)を下回ると手数料が発生するタイプもあるので、開設時に確認しておくこと。

ATM手数料

タイ国内のATMで自行カードを使う場合は無料。他行ATMでは手数料THB 15〜25が発生する。海外発行カードでタイのATMから引き出す場合は、THB 220の手数料が加算される(これはタイ側の手数料。カード発行元の手数料は別途)。

海外送金——タイと日本の間でお金を動かす

銀行経由の海外送金

タイの銀行からの国際送金は、窓口またはモバイルアプリから可能。SWIFT経由の場合、1回あたりTHB 500前後の手数料がかかる(KBankの場合THB 500、SWIFT手数料込み)。

着金までは通常3〜5営業日。手数料に加えて、銀行側の為替レートにはマークアップが上乗せされている点も考慮する必要がある。

受取側(日本の銀行)でも被仕向送金手数料がかかる。三菱UFJ銀行なら1,500円、他行も同程度。送金額が小さいと手数料負けしやすい。

タイの不動産投資を検討している場合は、FET(送金証明)の取得が必要になるため、送金ルートの選定は特に重要になる。

Wiseなどの送金サービス

銀行送金より安くなるケースが多い。Wiseはミッドマーケットレート(銀行間の実勢レート)に近いレートで送金でき、手数料も透明。タイ→日本、日本→タイの双方向に対応している。

銀行口座間送金と比べた場合、特に少額〜中額(数万バーツ)の送金ではWiseのほうがトータルコストが低くなる傾向がある。

Revolutも日本からタイへの送金に対応しており、選択肢として検討する価値がある。

日本側の準備

タイに来る前に、日本の銀行口座を維持しておくことが重要。海外送金の受取口座として必要になるだけでなく、一時帰国時の生活費の管理にも使う。海外からのオンラインバンキングに対応しているか、事前に確認しておくといい。

三菱UFJ銀行はアユタヤ銀行(Krungsri)との連携で、日タイ間の送金がスムーズ。赴任前に三菱UFJの口座を持っている場合は「海外口座ご紹介サービス」を利用できる。

モバイルバンキングとPromptPay

PromptPayとは

タイの銀行間即時送金システム。タイ版PayPayのようなもので、QRコードをスキャンするだけで支払いが完了する。店舗でのQR決済はもちろん、個人間送金も手数料無料。

バンコクの屋台から大手チェーンまで、PromptPayのQRコードが使える場所は非常に多い。現金を持ち歩かなくてもほぼ生活できるレベルに普及している。

外国人のPromptPay登録

タイの銀行口座を持っていれば、外国人でもPromptPayに登録できる。パスポート番号またはタイの携帯電話番号をアカウントに紐付ける形式。

登録は各銀行のモバイルアプリから可能。顔認証のスキャンが必要な場合があり、「非アジア系の顔がうまく認識されない」という報告もあるが、日本人であればこの問題は起きにくい。

各銀行のモバイルアプリ

銀行アプリ名英語対応特徴
Bangkok BankBangkok Bank Mobile Bankingあり海外送金にも対応。機能は網羅的
KBankK PLUSありUI・UXの評価が高い。PromptPay連携がスムーズ
SCBSCB Easyあり完成度の高いUI。投資機能も統合
KrungthaiKrungthai NEXTあり政府サービスとの連携が強い

口座開設時に、支店でモバイルアプリの初期設定まで済ませてから帰るのが無難。後から自分でやろうとすると、タイ語の画面で詰まることがある。

銀行口座がない場合の選択肢

短期滞在でタイの銀行口座を持っていない場合でも、QR決済を使う方法はある。TAGTHAiやTouristDigiPayといったサービスが、旅行者向けにPromptPayネットワークへのアクセスを提供している。ただし、プリペイド型のためチャージの手間がかかる。

注意点——開設後に知っておくべきこと

口座の長期未使用に注意

タイの銀行口座は、長期間取引がないと「休眠口座」として凍結される可能性がある。帰国後も口座を維持したい場合は、年に数回でも小額の取引を入れておくのが安全。

CRS(共通報告基準)による情報交換

タイはCRS(Common Reporting Standard)に参加しており、タイの銀行口座情報は日本の税務当局に自動的に共有される。タイでの預金残高や利息収入は日本の確定申告に影響する可能性がある。タイで一定以上の金融資産を持つ場合は、日本語対応の会計事務所に相談しておくのが無難。

帰国時の口座

タイを離れる際、口座をそのまま維持するか閉鎖するかは状況次第。将来的にタイに戻る予定があるなら維持しておくメリットはある。ただし、ビザが切れた状態で口座だけ残すと、後から手続きが面倒になる場合もある。

閉鎖する場合は出国前に支店で手続きを済ませること。残高の日本への送金も同時に処理しておくといい。

外国人口座の制限

外国人名義の口座では、一部の金融商品(投信、保険等)の購入に制限がかかることがある。また、1日あたりの送金限度額が設定されている場合もある。大きな資金移動を予定している場合は、事前に銀行に確認しておくこと。

まとめ——口座開設のステップ

  1. ビザを確保する — ノンイミグラントビザ(B / O / ED)またはLTRビザが必要。観光ビザでは開設できない
  2. 住所証明を取得する — イミグレーション発行の在留届証明書が最も確実
  3. 銀行を選ぶ — 日常使いならKBank(K PLUSの使い勝手)、安定感ならBangkok Bank、政府関連ならKrungthai
  4. 支店に行く — オンライン開設は外国人には対応していない。パスポート、ビザ、住所証明、タイの携帯番号を持参
  5. モバイルアプリを設定する — 支店にいるうちにアプリの初期設定とPromptPay登録を済ませる
  6. 海外送金の手段を確認する — 銀行送金とWise等のサービスを比較して、自分の送金パターンに合う方法を選ぶ

書類は「多すぎるかも」くらいで持っていくのがちょうどいい。支店で「この書類もありますか?」と聞かれたときに出せるかどうかで、結果が変わることがある。


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