ベトナムのビザ——e-Visa・就労ビザ(LĐ)・一時滞在証(TRC)の取得フロー
ベトナムのビザ制度を解説。日本人のビザ免除・e-Visaから、就労ビザ(LĐ)・労働許可証の申請要件・一時滞在証(TRC)の取得フロー、起業・フリーランスでの長期滞在まで。
この記事の日本円換算は、1USD≒155円で計算しています(2026年4月時点)。ベトナムは USD建て取引が実用的なため、USD基準で記載しています。ベトナムドン(VND)は 1USD≒25,000VND 前後を目安にしてください。
「短期出張で来てそのまま仕事を始めた」——ベトナムではこういうケースが過去に多かった。今はビザ制度が整備されており、就労ビザ・労働許可証なしに就労することはできない。
ただ、ベトナムのビザは複数の制度が組み合わさっており、最初に全体像を把握しておくと、どのルートを選ぶかの判断がしやすい。
ベトナムのビザ制度——全体像
| ビザ種別 | 対象 | 在留期間 |
|---|---|---|
| ビザ免除 | 日本人(45日以内の観光・商用) | 最大45日 |
| e-Visa | 外国人全般(観光・商用) | 最大90日 |
| ビジネスビザ(DN) | 商用・就労準備 | 30〜90日(延長可) |
| 就労ビザ(LĐ) | 労働許可証保有の就労者 | 1〜2年 |
| TRC(一時滞在証) | 居住ビザの代替として長期滞在 | 1〜2年(更新可) |
| 留学ビザ(ĐT) | 正規教育機関での就学 | 就学期間中 |
日本人のビザ免除——45日以内の滞在
日本国籍保有者はビザなしで最大45日間ベトナムに滞在できる(2023年8月から15日→45日に延長)。観光・商談・短期視察は原則ビザ不要。
ただし以下の点に注意:
- 45日を超える滞在にはビザが必要
- ビザ免除での入国中は就労・給与受取が不可
- 直前の出国からの日数制限等の細かいルールが変わることがあるため、長期計画の前に最新情報を確認する
e-Visa——90日滞在
オンラインで申請できる単発入国ビザ。観光・商用目的で最大90日の滞在が可能(2023年改定)。
申請先: ベトナム入国管理局(immigration.gov.vn)の公式サイト
費用: USD 25
所要時間: 申請から3営業日程度
申請に必要なもの:
- パスポート(スキャンデータ)
- 証明写真(デジタル)
- ホテル予約・航空券等(任意で提出するとスムーズなケースあり)
長期移住・就労を目的とした滞在には対応していない(就労行為は不可)。
就労ビザ(LĐ / Lao Động)
就労ビザの位置づけ
就労ビザ(ký hiệu LĐ)は労働許可証(Work Permit)を取得した後に申請できるビザ。先に労働許可証がなければ就労ビザは申請できないという順番を覚えておく。
フロー
- 日本で書類準備(学歴証明・職歴証明のアポスティーユ取得)
- 渡航(ビジネスビザまたはビザ免除で入国)
- 雇用主が労働許可証を申請(申請者が書類を提出)
- 労働許可証取得
- 就労ビザ(LĐ)申請
- TRC申請(長期在留証)
労働許可証(Giấy phép lao động)
概要
ベトナムで就労するすべての外国人に必要な許可証。雇用主(現地法人)が申請主体で、当局(省・市の労働局)が発行する。
申請に必要な主な書類(申請者側)
- パスポート(有効期限が十分あること)
- 学歴証明書: 大学卒業証明書 + アポスティーユ + ベトナム語公証翻訳
- 職歴証明書: 関連職種での3年以上の就労経験の証明 + アポスティーユ + ベトナム語公証翻訳
- 無犯罪証明書: 日本の警察署発行(3ヶ月以内)+ アポスティーユ + ベトナム語公証翻訳
- 健康診断書(3ヶ月以内)
- 証明写真
注意点
- アポスティーユは外務省の「外務省証明班」で取得(郵送申請可)。所要時間は通常2〜5営業日
- ベトナム語公証翻訳はベトナム国内の公証翻訳事務所または日本の認定翻訳業者に依頼
- 全書類の準備に1〜2ヶ月かかることが多い。渡航の2〜3ヶ月前から動き始めることを強くすすめる
有効期限・更新
労働許可証の有効期限は最大2年。更新には同様の書類が必要(アポスティーユ書類は再取得が必要な場合あり)。
労働許可証が免除されるケース
- ベトナムの会社の代表者(Representative Office / Legal Representative)として登録されている場合
- 特定の専門家や技術者として短期派遣される場合(90日未満等の例外規定)
詳細はベトナムの労働法・政令規定に基づいて判断する必要があり、雇用主と労務専門家に確認するのが確実。
TRC(一時滞在証 / Thẻ tạm trú)
概要
外国人の「居住証明証」に近い概念。TRC取得後は、毎回ビザを延長する手続きが不要になる。
申請先・タイミング
- 申請先: 居住地の入国管理局(省・市のimmigration office)
- 申請タイミング: 入国後30日以内が目安(就労ビザ取得後)
必要書類
- パスポート
- 就労ビザ(LĐ)コピー
- 労働許可証コピー
- 賃貸契約書(登録済みのもの)
- 雇用主からの担保書類・申請書
有効期限
労働許可証の期限に連動。最大2年。更新のたびに同様の手続きが必要。
TRC取得後は、ベトナムへの再入国時もビザが不要になる(TRCの有効期限内)。出張で頻繁に出入りする人には特に便利。
起業・FDI企業設立での長期滞在
雇用主なしにベトナムで長期滞在する選択肢のひとつが、FDI(外資直接投資)企業の設立。
- ベトナムに外資100%の会社(LLC等)を設立
- 代表者(Legal Representative)として在留資格を取得できる
- 会社設立費用は USD 1,000〜3,000程度(行政費用+代理費用)
フリーランサー(個人事業主)としての在留は制度的に難しく、FDI企業設立が実質的な選択肢になる。専門の設立代行業者(日系の法律事務所・コンサル会社)に相談するのが現実的。
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