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英国で部屋を借りるとき、審査で見られているもの——リファレンスと保証人の実務

英国の賃貸では入居前に信用調査と身元照会が行われ、条件を満たさないと保証人か前払いを求められる。在住日本人が実際に引っかかる点を具体的に整理する。

2026-09-29
賃貸審査保証人イギリス

この記事の日本円換算は、1GBP≒213円で計算しています(2026年6月時点)。為替は変動するので、現地通貨(GBP)の金額を基準にしてください。

英国で気に入った物件が見つかっても、そこから入居までにもう一段階あります。テナント・リファレンシングと呼ばれる審査です。ここで落ちると、内見も申し込みも無駄になります。

そして渡英直後の日本人は、この審査で不利になりやすい条件をいくつも抱えています。理由を知っておくと、対策が打てます。

何を見られているのか

審査で確認されるのは、大きく分けて三つです。収入、信用情報、過去の賃貸履歴。

収入については、年収が家賃の一定倍数以上あるかを見られるのが一般的です。倍率の設定は業者によりますが、家賃の30倍程度の年収を目安とする例がよく使われます。月家賃£1,500(約319,500円)なら年収£45,000(約9,585,000円)という計算です。

信用情報は、英国内での借入や支払いの記録です。ここが渡英直後の最大の壁になります。英国に来たばかりだと、記録そのものが存在しない。滞納がないのではなく、判断材料がない状態です。空欄の答案は、間違いだらけの答案より評価しにくい。審査システムから見ると、渡英3日目の日本人は「存在しない人」に近い扱いになります。

だから、渡英後の順序が効いてきます。まず銀行口座を開き、携帯を契約し、公共料金の名義を自分にする。この三つが動き出すと、記録が積み上がり始めます。

賃貸履歴は、前の貸主からの照会です。家賃の滞納がなかったか、物件を適切に扱ったかを確認されます。海外の貸主に照会が及ぶかは業者次第で、日本の大家に英語で照会が飛ぶこともあります。

記録がないときにどうなるか

審査を通らなかった場合、いくつかの代替手段が提示されます。

ひとつは保証人です。借主が支払えない場合に代わりに支払う人を立てる。ただし、英国在住で英国内に収入がある人でないと認められないことが多く、渡英直後の日本人には見つけにくい条件です。

もうひとつは、家賃の前払いです。半年分、あるいは一年分をまとめて先に払うことで審査を通す方法。金額は大きくなりますが、確実性は高い。渡英直後の日本人が実際によく使う手段です。月家賃£1,500(約319,500円)の物件なら、半年分で£9,000(約1,917,000円)が一度に出ていく計算になります。渡航資金の見積もりを立てる段階で、この可能性を織り込んでおくかどうかで、現地に着いてからの選択肢の幅が変わります。

三つ目は、保証人サービスの利用です。有料で保証を提供する事業者があり、費用を払うことで保証人の代わりになります。条件と費用は事業者によって異なります。

勤務先の在籍証明が効く

英国の企業に就職して赴任する場合、雇用契約書と雇用主からのレターが強力に働きます。年収、雇用形態、開始日が明記されたものです。試用期間中であることが不利に働く例もあるので、契約書の内容を確認しておくと備えられます。

日本企業からの駐在の場合、英国法人が家賃を保証したり、法人契約で借りたりする形が取られることもあります。この場合、審査の対象が個人ではなく法人になるので話が早くなります。会社の人事に、どういう契約形態になるのかを先に確認しておくと段取りが変わります。

デポジットの上限と扱い

英国では、賃貸の保証金に法律上の上限が設けられており、預かった保証金は指定された保護制度に預けることが義務づけられています。貸主が自分の口座に持ったままにしておくことは認められていません。ロンドンの賃貸市場が「賃貸地獄」と呼ばれる状態にあるなかで、この部分だけは借主側に強く制度が働いています。

入居後、保証金がどの制度に預けられたかの通知が届きます。これが来ない場合は確認したほうがいい。退去時の返還交渉で、この制度の存在が効いてきます。

保証金とは別に、物件を押さえるための予約金を求められることがあります。この金額や扱いにも規制があるので、支払う前に何の名目なのかを明確にしておくのが安全です。制度の細部は改定されうるので、最新の内容は公式情報で確認してください。

信用情報を育てる

長い目で見ると、英国での信用記録を作っておくと後が楽になります。携帯電話の契約、公共料金の口座名義、銀行口座での安定した取引。こうしたものが積み上がると、次の引っ越しや住宅ローンの審査で効いてきます。

選挙人名簿への登録も、住所の裏づけとして信用情報に反映される要素として扱われます。登録の可否は国籍や在留資格によるので、自分が対象になるかは確認が必要です。

そして、審査を通した後に見るべきものは物件の中身です。窓枠から風が入ってこないか、裏路地に面した門に錠がかかるか。契約前に指摘すれば直してもらえるものが、入居後は自分の我慢になります。

最初の一年は選択肢が狭く、二年目からは急に楽になる。英国の賃貸市場は、そういう構造をしています。最初の契約を通すことに全力を注ぎ、その後は記録が自動的に働いてくれる。そう考えると、初回の前払いも投資として見えてきます。

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